Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

Rebecaさんのセミナーは大当たり

午前中は整体。午後から大阪学院大学へ。Rebeca Gomez Betancourtさん(Université Lumière Lyon 2)によるセミナー“Edwin Walter Kemmerer's Contribution to Quantity Theory of Money”に参加する。

貨幣理論はまったくの専門外で、強い興味を持っているわけではないが、ちょうど今オークランドの原稿を準備していて、しかもここ数日英文レターばかり書いているから、頭がかなり英語脳になりつつある。そのトレーニングとして話を聞くつもりで参加した。

ところが、予想外に大当たりの内容で、参加は大正解だった。ケメラーなんて経済学者のことはまったく知らなかったが、入念なアーカイブワークにもとづいて初学者にもわかる魅力的なストーリーを組み立てるRebecaさんの能力は秀逸だった。プレゼンも質疑応答もたいへん明瞭で、ものすごく聡明な方であることがうかがえた。*1「どうしてこんなマイナーな人物を研究対象に選んだのだろうか?」と不思議に思ったが、彼女の出生国であるベネズエラ(をはじめとする南米5か国)の中央銀行を作った人物ということで容易に納得できた。Irving Fisherの権威の影響によって経済学史上ほとんど忘れ去られてしまった人物のようだ。

Rebecaさんにもセミナーの感想を添えてお礼メールを書くことにしよう。Stephen, HETSA会長のAlex, Pullen先生に英文メールを書き続けてきた勢いで。彼女は貨幣理論家だから、僕が彼女と問題関心を共有できるようなトピックはないと最初思っていたが、実はあった。彼女も僕と同様にハイエク「なぜ私は保守主義者でないのか?」に強く関心を持っていた。最近このトピックで日本語論文を書いたので、もし英訳できたら、ぜひともお送りしたい。

この2、3月は外国人研究者との交流が本当に充実していたなぁ。満足している。

【8950】

*1:ちなみに、Rebecaさんは2009年12月に接待したフランス人研究者Jérôme de Boyer des Rochesさんのお弟子さんである。http://d.hatena.ne.jp/nakcazawa/20091209