マルサス学会の年次大会(第28回大会)は2週間後の6月30日・7月1日に尾道市立大学で開催される。僕は大学院生O君と共同で、「サウジーのマルサス批判――「貧民の敵」マルサス像の起点を探る」と題する研究報告を1日午前に行うことが決まっている。
この報告の端緒は、2015年度春学期にシドニーでの在外研究に従事していた際、サウジーによる『人口論』の書評を読み始めたことである。悪意に満ちたこの書評が後世に残した影響の大きさを直感して、「これは大きな仕事になりそうだ」と予感した僕は、さっそく全訳を開始した。在外研究期間中に半分ほど訳出したが、帰国後他の仕事に忙殺されたため、しばらく塩漬けになっていた。そんな折り、2017年4月からO君が僕の大学院ゼミに出席するようになって、彼との共同作業の案が浮上し、実行に移したわけである。
学会報告の予定は当初なかったが、マルサス学会大会の報告枠に空きがあるという情報が4月上旬に入ってきたため、O君の業績にもなることを考えてエントリーした。ところが、腱鞘炎が想像していた以上に重傷で、当初の計画のように執筆を進められず、ここ一、二週間、非常に苦しんでいる。今日が要旨の提出締切だったが、結局、間に合わせられなかった(もちろん事務局には詫びの連絡を入れた)。
サウジーによる『人口論』書評の翻訳の完成度は95%ほど。現在、最終チェック中。字数は全体で24000字ほど。充実した訳注はO君のおかげだ。実によく調べてくれた。これに訳者解題を付す。19日(火)が勝負の日になるだろう。終日授業も会議もないのはこの日くらいだから。この日のうちに仕上げることが至上命題になる。
今日も目が回りそうなほど高密度な一日。10時から13時まで某会議。13時から14時までO君との翻訳ワークショップ。確認作業のために研究推進部に立ち寄って、それから4限の経済学説史(前回でバークを終えて今回からマルサスに入る)、5限の大学院ゼミ。22時に帰宅したが、24時までサウジー書評の訳文のチェック作業。とにかく、時間が絶対的に足りなくなってきたので、寸暇を惜しんでの作業になってしまう。さすがに心身ともにかなり疲弊している。
2週間後、果たして準備万端であろうか? 学会懇親会(30日の夜)でおいしいお酒を飲みたいところである。