Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

長野俊一『ゼロから始めるロシア語』

本日、長野俊一『ゼロから始めるロシア語』の3巡目の通読を終えた。ただ、1巡目、2巡目はただ読むだけで、練習問題は解かなかった。3巡目にしてようやく練習問題を解いた。頭の中で考えるだけでなく、実際に手を動かしてノートに書き留めた。amazonのレビューにも本書の練習問題を称讃する声があったが、実際に解いてみてようやくこの教科書の真骨頂を実感できた。本当に素晴らしい教科書である。これからもことあるごとに参照し続けることであろう。

ロシア語の勉強を今年1月18日から30数年ぶりに本格再開するにあたり、内容の重たいものにいきなりチャレンジすると挫折する可能性が高かったので、かなり軽めの教科書を最初に3冊読んだ。この日記でもすでに記したように、『ゼロからスタート ロシア語文法編』『CD付き オールカラー 基礎からレッスン はじめてのロシア語』『はじめてのロシア語 (講談社現代新書)』の3冊がそれなのだが、これらは簡単な会話や名詞・形容詞の格変化の基本を主として扱っており、接続法・比較級・副動詞・形動詞といったロシア語文法の後半にあたる内容を扱っていない。したがって、4冊目の本書によってロシア語文法の全体を始めて概観できたことになる。*1タイトルこそ『ゼロから始めるロシア語』となっているが、初級と中級をブリッジするような少し高度な内容で、「ゼロから」のロシア語の勉強を本書から開始するのはちょっときついように思う。僕自身、軽めの教科書を3冊読み終わり、最低限の予備知識を蓄えた後に本書を読み始めたのは正解だったと感じている。

本書の文法解説はかなり簡素である。必要最小限に近いと言ってもよいかもしれない。あくまで僕の想像であるが、著者はもっと詳しく説明しようとすればできたが、そんなことをしても本が無駄に分厚くなるだけなのであえて控え、読者の理解を促進するという目的において詳しい説明を与えることよりも練習問題を解いてもらうことを優先させたように思う。そして、この練習問題が実に練りに練って作られているのである。本書は全23課あり、2つの課を終えるごとに復習用の練習問題が登場する(最後の23課だけ1つの課で練習問題が登場)。本書後半の練習問題では、対応する課の内容だけでなく、前半に習った文法事項や単語まで効率良く復習できるようになっており、「今、このタイミングで、これを聞いてくるか!?」「これたしかにやったなぁ。あ~、そこまで出て来ているのに、どうしても思い出せない~!(地団駄を踏む)」なんてことが、練習問題を解いている最中に幾度もあった。また、「こんな単語、ぜんぜん知らんぞ。見覚えないぞ」と思ったら、実はかなり前の課でこっそり登場している単語だったり。こんな感じで、自分の理解の怪しさ・浅はかさを突きつけられるのである。

実際に手を動かしてみるのは本当に重要である。わかっているつもりの超初歩的な単語が正しく綴れないことが頻繁にあった。その「つもり」が実はいちばん怖いのだ。楽譜を目で追って頭の中で音が鳴っているだけなのと、実際に楽器を演奏してみるのとでは、まったく違うはずなのに、語学の勉強では手や口を動かすのを(おそらくめんどくさがって)軽視しがちである。少なくとも30数年前の自分はそうであった。定着度が低かったいちばんの理由はそこ――手や口を動かす時間が少なすぎたこと――にあったように思えてならない。この本を読んでかつての自分の甘さを痛感させられた。外国語を(ある程度のレベルに限定しても)使いこなせるようになるには、それ相応の時間的犠牲が不可欠なのだ。遠回りはあっても近道はない。

ロシア語だけの青春: ミールに通った日々

ロシア語だけの青春: ミールに通った日々

今の時代は、あの頃と違って、音声教材・映像教材も格段に充実しており、通勤時間やその他の隙間の時間での勉強がはるかに進めやすくなっている。「今日はNHKのラジオ講座の録音に失敗したので勉強は臨時休業」なんてことはもはやありえない。4月になって新学期が始まると、おそらくまた怒涛の毎日が続くだろうが、ロシア語(できれば中国語も加えたい)の勉強だけはこれからも何とかして継続させていきたい。そして、できることならば、最終的には、イギリス経済思想史のみならずロシア(&中国)経済思想史の研究者としても学界にいくぶんかの貢献を残したい。まずはレーニン(と毛沢東)を原書で読みたい。

帰宅後もNHK(Eテレ)「ロシアゴスキー」を視聴する。今日は終日、ロシア語漬け。語学はルーチンにするに限る。

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*1:もちろん、あくまで「概観」である。例えば分数や小数の表現は、ロシア語はおろか英語ですらいまだに不案内である。