Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

YSS2022

今日は2022年度(第18回)経済学史学会主催若手研究者育成プログラム(YSS:Young Scholars Seminar)の開催日。一昨年・昨年に引き続きコロナ禍の影響によりオンライン開催となる。今回は自宅から参加する。

テーマは「はじめての研究成果公表―学会誌への投稿、海外での報告、海外学術雑誌への投稿」で、メニューはFJMRさん(大東文化大)とTKHSさん(東京交通短大)による講演と、それらにもとづくグループディスカッション。参加者は(僕が数えたかぎりでは)26名だったかな。18-19時に家族との夕食(@近所の焼肉店「ちゃんだん」)で抜けた以外は、11時半から21時まで(オンライン懇親会を含む)ほぼフル参加。

2本の講演は、YSSにふさわしく、若手研究者のために基本的な内容を懇切丁寧に説明したもので、特にTKHSさんの講演はこれ以上望みようがないほど素晴らしく充実したものであった。若手は大いに啓発されたに違いない。企画責任者のMNMMRさんは、司会者としても大活躍で、彼の軽妙な司会のおかげで長丁場ながら途中でまったくだれる気配がなかった。彼をはじめとして運営を支えてくれた企画交流委員会委員の皆さん、本当にお疲れさまでした。企画交流委員会の前委員長として、この場を借りて、心よりお礼を申し上げます。

今日のYSSでも話題に出た海外学術雑誌への論文投稿。どの院生にも「ぜひチャレンジしなさい!」などと気軽に言えないのは、当たればでかいものの、やはり求められる時間と労力が尋常でなく、リスクも大きいため。来年春にCahiers d'économie politique誌の掲載予定の拙稿などは、投稿(2018年3月13日)からaccept(2021年10月1日)まで3年半以上も要しているし、Cahiers d'économie politique誌への投稿前に2つのジャーナルからrejectを食らっているので、最初のジャーナルへの投稿(2014年2月26日)から起算すると、acceptまで7年半以上も要している。しかもこの論文を国際学会で最初に口頭発表したのは、2012年9月(3rd Joint Conference ESHET-JSHET, University of Corsica, Corte, France)なので、それを起点にすると、acceptまで9年、publicationまで10年半かかったことになる。すでに専任教員であったからこそ、このような贅沢な時間の使い方が許されたことは否めない。とは言え、それだけの時間と労力を費やしただけの価値は十分にあったとすでに実感しているが。ネット上の情報を参照するかぎりでは、Cahiers d'économie politique誌は僕がこれまで掲載に漕ぎつけたジャーナルの中では、どうやら最高のimpact factor(0.444)を誇るようである。

これまでの研究者人生で、自分の代表的な研究業績(英語)を3点挙げろと言われれば、やはり以下になるだろうか。最初の2つはacceptをもらえるまで本当に長い時間を要したが、3つ目は拍子抜けするくらい一発でacceptをいただけた。正直なところ、海外学術雑誌への論文投稿の「コツ」などは、実はいまだによくわからない。そんなものがあるのなら、こちらが教えて欲しいくらいである。海外学術雑誌への最初の投稿(2002年)から20年たっても悩みっぱなしである。

  • "Malthus's Political Views in 1798: A ‘Foxite’Whig?," History of Economics Review, No. 56, Summer 2012, pp.14-28.*1
  • "What Attracted Keynes to Malthus's High Price of Provisions?," Erasmus Journal for Philosophy and Economics, Volume 10, Issue 2, Fall 2017, pp.24-44. *2
  • (with Yoshifumi Ozawa) "Milton’s Paradise Lost and Malthus’s An Essay on the Principle of Population: A Neglected Intertextuality," History of Economics Review, Volume 80, Number 1, December 2021, pp.74-84. *3

   
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