Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

エドマンド・バーク

研究会では大御所のT先生がご自身の40年以上にわたるJ.B.クラーク研究の来歴をお話しくださって、大きな感銘を受けた。たしかに思想史研究には理屈をこえた研究対象への惚れこみ(ロゴスをこえたパトス)というものが存在していて、それが研究を根本的なところで規定していることが多いような気がする。僕の場合、大学院に入ってから今日までずっとエドマンド・バークという思想家とつきあっているわけだが、彼の思想がどんなものであったかを理解する以前に、彼の人柄・生涯にまつわる数々のエピソード(父との不和、アイルランド出身であることのコンプレックス、上流階級に対する憧れと違和感の共存、正義感の強さなど)に親近感を覚えたことは事実だ。ノンエリートがエリートの世界に入ってしまったがゆえに背負い込んでしまった苦悩に素直に共感できたのだ。彼はいつももがいている。ふんばっている。でも虚勢ははらない。長年つきあっていると、まるでバークが自分の友人のように思えてくる。「おい、バーク、なんでそんな無理するんや。肩の力を抜けよ」って、一声かけたくなる。そして時としてその言葉は自分自身に跳ね返ってくる。だから思想史研究は楽しい。

フランス革命の省察

フランス革命の省察

僕の研究者としての人生はこの本との出会いから始まった。読み直すたびに新しい発見がある。古典とは本来そういうものだろう。