Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

今日のBGM

敢えて断言しよう。「本作こそオフコースの最高傑作だ」と。

本作が発売されたのは1977年9月5日。「さよなら」の大ヒットでオフコースの名前が一気にメジャーになるのはもう少し先のことだ。「さよなら」は罪つくりな楽曲だと思う。この大ヒット以降、小田・鈴木の楽曲提供の均衡が崩れた。作りこみすぎたサウンドには「煮詰まり」「閉塞感」が徐々に漂い始める。*1

本作を聞き込めば、その後のオフコースが失ってしまった大切な何かを、ただちに理解できるだろう。全9曲。小田単独作3曲、鈴木単独作4曲、小田・鈴木共作2曲。鈴木のウェイトのほうが高い。アルバムの最後を飾る「HERO」は、オフコース版‘A Day in the Life’と言ってもよいほどの、小田・鈴木のパートナーシップが生み出した傑作だ。リード・ヴォーカルが途中で鈴木から小田にチェンジする。フォーク調の楽曲は徐々にバンドサウンドへと変貌していく。軽快で、美しく、そしてスリリングだ。7曲目「あなたがいれば」のJazzyな展開も、その後のオフコースでは見られなくなってしまったものだ。バラエティに富んだ挑戦的な楽曲が多く、サウンド的にまったく「煮詰まっていない」のだ。

「秋の気配」はファンの間で人気の高い楽曲だが、僕はこの曲が収録されていなくても、本作の価値はほとんど減じないと思う。*2鈴木のリード・ヴォーカルに絡んでいく小田のコーラスの素晴らしさも味わって欲しい。断じて「小田和正オフコース」ではないのだ。

JUNKTION(紙ジャケット仕様)

JUNKTION(紙ジャケット仕様)

*1:ピンク・フロイドも同じような道を歩んだと言ってよいかもしれない。

*2:個人的には「思い出を盗んで」のほうが名曲だと思う。