Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

その瞬間に書き留める

僕の学会報告の聴き方(と言うより利用の仕方)は少し変わっているかもしれない。

配布された報告原稿(orレジュメ)のすぐ横に、執筆途上の自分の論文のメモランダム(あるいは主要参考文献)を並べて広げておく。両者の内容が遠くてもそうすることが多い。報告を真剣に聴いていると、脳みそに新しい情報が次々とインプットされるから、脳の働きが活性化されて、アイデアが芋づる式に浮かんでくる。連想が連想を呼ぶ。浮かんだ瞬間に書き留めておかなければ、すぐに忘却の彼方へ消え去る危険がある。

断じて聞き流しているわけではないが、聴くことに専念しているわけでもなく、自分の抱える問題に引き寄せながら聴いているために(本を読む時とまったく同じ!)、報告者が冗談を言った時に深い思考のゾーンに突入してしまっていると、笑うタイミングを逸してしまう。「失礼なことをしたかも・・・」などと気にしつつも、これがいちばん効果的な勉強法なものだから、どうしても毎回こうなってしまう。特に最近は持続的に考えることに脳が飢えているので、いったん深い思考のゾーンに突入すると、なかなか日常世界に戻ろうとしない。

この何日か、スミスの自然価格論について、あれこれ思考をめぐらせていたわけだが、その思考はまだかなり断片的なものにとどまっていた。ところが、今日の4本の報告を聴いているうちに、断片が次第につながってきた。どこがどこにつながるのか、その可能性を書き留めるのに忙しく、一日中ペンを走ら続けていた。帰りの新幹線の中でも、そのメモランダムへの書き込みの整理で忙しく、あっと言う間に京都駅に着いた。かなりハードな作業だったことは確かだが、何とかそのテーマに関する論文を書き上げることができそうだ。