Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

一区切り

昨日脱稿した英語論文(マルサス&ペイン論)を推敲する。誤字・脱字、単語の選択、構文などをすべてチェックしたので、結局まる一日かかってしまう。時制と冠詞はどれだけ考えてもわからない。最終的に8,591wordsになった。ついに校閲業者に投げる。

今回の改訂作業に要した期間は2週間ほどだが、非常に高い集中力を要する作業だったので、相当に疲労困憊した。しかし、それに見合った成果が得られた。かなりいい論文に仕上がったように思う。できあがりに満足している。改訂に際して新たに紐解いた文献のいくつかは新しい論文のネタの宝庫だった。

長い道のりだった。この論文を最初に口頭発表したのは2012年9月14日@コルシカ大学。以後、改訂と口頭発表を繰り返すことになる。2回目は2013年7月4日@西オーストラリア大学、3回目は2014年3月5日@南山大学、4回目は2014年8月21日@横浜国立大学。その間、某ジャーナルに投稿し、リジェクトこそ食らわなかったものの改訂&再投稿を求められ、再投稿したものの、シドニー滞在中の2015年6月13日にリジェクトの報が届く。けっこうへこんだ。一時はこれ以上の投稿を諦めて闇に葬ることも考えた。しかし、想像していた以上に長いつきあいになり(娘より年長である)、「何とか日の目を見させてあげたい」という思いもそれだけ強くなった。そして今日にいたるわけである。

今回の改訂では先の某ジャーナルのレフェリーによって示された改訂の方向とまったく異なる方向で、すなわち、自分がその学術的価値を最も強く信じる方向で改訂した。最終的に自分が書きたいことをはっきりと書けたので、気分爽快である。しんどいながらも英語で論文を書くことに大きな価値を認めるのは、世界中の読者に読まれうるからだけではない。作文能力の制約により、日本語で書く時のようにレトリックやぼやかし表現を使えないので、確実に言えることしか書けない。自ずと論証的になる。思考が磨かれる。そのおかげで書きたいことを(自分がかつて考えていた以上に)はっきりと書けたのだと思う。

今後の予定だが、3月18日に龍谷大学で開催される研究会で口頭発表させていただき、その後で海外の専門ジャーナルに投稿する予定だ。

今日で一区切りだが、新学期までに仕上げなければならない英語論文を実はもう一本抱えている(ケインズ&マルサス論)。こちらは投稿先のジャーナルから改訂&再投稿を要求されている。今週残りは流して、次週からはこちらに専念することになる。