Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

今日のBGM

オフコースと言えば小田和正のイメージが強いだろうが、もともとは小田と鈴木の双頭バンド。僕が中学生だった頃、オフコースの人気はまさに絶頂で、テレビ出演しないこともあって、神秘的なイメージの強いバンドだった。僕が生まれて初めて買ったLPはピンク・レディーのベストで、2枚目がオフコースの‘We are’だ。神秘性に引かれてなけなしの小遣いをはたいて衝動買いしてしまったのだろう。以来数年間プログレにはまるまで彼らの音楽を追いかける日々が続いた。本当によく聞き込んだと思う。今でもほとんど全ナンバー歌えるもんな。バンドの解散後、小田はソロ・アーティストとして大成功を収めたが、鈴木はマイペースで自分の音楽を追及し続けている。本作はそんな鈴木がオフコース時代の自らの楽曲をセルフ・カヴァーしたもの。amazon.co.jpのカスタマー・レヴューでの高い評価を知って購入してみた。

マルチ・ミュージシャンの面目躍如とばかりに、歌を含む演奏のすべてが鈴木本人によるもの。年齢のせいなのか、オフコース時代と比べると、声質がややハスキーになっている。これを「衰え」と感じるか「渋い」と感じるかは個人差があるだろう。楽曲のアレンジはオリジナル(オフコース時代)に忠実で、斬新な解釈を加えているわけではないが、それがむしろ良かったように思う。昔からのファンの楽曲への思い入れを大切にしてくれていると好意的に受けとめた。コーラス・ワークとギター・ワークがオフコース時代よりもはるかに緻密になっており、円熟の境地を感じさせる。「素敵なあなた」「潮の香り」「ロンド」「一億の夜をこえて」などが僕のお気に入り。「愛の終わる時」「夜はふたりで」「メインストリートをつっ走れ」なども聞きたかった。

小田作品がLennon&McCartonyだとすれば、鈴木作品はGeorge Harrisonに相当するだろう。シングル・ナンバーの大半が小田作品だったために、鈴木のバンドへの貢献は不当に過少評価されてしまった。本作は鈴木再評価のための必須アルバムだと言える。購入2日目にして愛聴盤の仲間入りだ。

小田のセルフ・カヴァー集のタイトルが‘Looking Back’。それに対抗してなのか鈴木は本作を‘FORWARD’と名づけた。二人の間の引力はまだ消えていない。オフコースの再結成は十分にありえるな。

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