Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

セブン・ミレニアム経営統合

イトーヨーカ堂セブン-イレブンジャパンを擁する「セブン&アイ・ホールディングス」と西武百貨店、そごうを擁する「ミレニアムリテイリング」との経営統合が発表された。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051225-00000012-yom-bus_all

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051226-00000112-yom-bus_all*1

僕の専門は「経済思想史(18世紀イギリス経済思想)」であり、「現代日本の流通」からはあまりに遠く隔たっている。しかし、意外に思われるかもしれないが、一経済学徒として――歴史家である自分が現代経済とつながりを持ち続けるための接点の一つとして――、学生時代から並々ならぬ関心を流通業界に対して注いできた。

実家が大衆食堂ということもあり、父は幼い僕を卸売市場の競りなどに頻繁に連れて行ってくれた。そのことが僕の流通業界への関心を促してくれたことは確かなのだが、僕の関心をいっそう喚起してくれたのは、辻井喬さんの小説との出会いだった。高校生の僕にとって、セゾン(西武流通)グループの総帥・堤清二が詩人・小説家辻井喬と同一人物であったことは大きな驚きだった。セゾンの破天荒な事業拡大の背後に、異母弟が総帥を務める西武鉄道グループとの骨肉のライバル関係が隠れていることを知って、僕は経済を人間ドラマとして楽しむことができるようになった。人間ドラマとしての経済という問題視角は、研究者としての自分の原点であり、今の自分にも継続しているように思う。だからこそ思想史という一見畑違いに思える(しかし流通以上に人間臭い)分野へすんなりと転身できたのだろう。

今回の経営統合を耳にした時、最初はとにかく驚きだった。数年前まではまったく考えられないようなことが現場では起こっている。その驚きについて書くつもりだったが、気がついたら自分の研究来歴を振り返っていた。どうしてなのか、自分でもよくわからない。

流通革命の経済学

流通革命の経済学

辻井喬コレクション〈1〉小説 彷徨の季節の中で 他

辻井喬コレクション〈1〉小説 彷徨の季節の中で 他

*1:ミレニアムの和田社長が安定株主の必要性を説いているのは注目に値する。果たして時代の流れに抗しているのか、時代を先取りしているのか?