Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

中国語を学ぶ

僕は今でこそ18世紀イギリス経済思想の研究者であるが、Iさんの専門分野である中台経済はまったくの門外漢ではない。学部4・5年、修士課程1・2年、博士課程1・2・3年の7年間にわたって、僕はH先生のもとでアジア経済を学んだ。単位とは無関係に、純然たる知的好奇心から学んだ。

きっかけは学部4回生の時に履修したH先生の「東洋経済史」の講義があまりにも素晴らしかったからだ。*1H先生とのおつきあいを学部だけで終わらせたくないと思った。先生から吸収したいものがまだまだたくさんあった。「イギリス経済思想の研究に行き詰まったら、アジア経済研究に鞍替えできるかも」といった不遜な気持ちもあったかもしれない。

H先生の大学院ゼミでは中国語かハングルの読解能力が参加要件だったので、院試終了後から「NHKラジオ中国語講座」を聞き始めた。僕にとっては第三外国語にあたる。*2入門編から応用編へ、のべ4、5年くらいは聞き続けたのではないだろうか。中国語の勉強はNHKラジオとその副読本による独学だったが、博士課程の2・3年には台湾の中小企業に関する中国語文献を読んで報告できるほどにまで到達していた。今になって思えばあの頃が僕の中国語力のピークだったように思う。

千里山大学に勤務するようになり、趣味の勉強のための時間はまったく消えてなくなってしまった。校務と講義準備の隙間を縫って専攻分野(経済思想史)の論文を書くだけで精いっぱいの毎日。おまけに2002年度にイギリス留学を控えていたから、得意とは言えない英会話もトレーニングせねばならず、時間不足は慢性化。中国語とはまったく無縁の生活が続いてしまった。

しかし学生時代の蓄積というのはありがたいものだ。8年間のブランクを経ても、今日の「お別れの会」での台湾人参列者のスピーチ(中国語)がところどころではあるがまだ聞き取れたのだ。僕の中国語力は完全に死んでしまっていたわけではなかった。何とか時間を捻出して勉強を再開させたい、と強く思った次第だ。

相原茂先生はテレビの中国語講座で人気に火がついたけれども、僕はテレビ登場以前のラジオですでにお世話になっていた。文法説明が簡潔かつ巧みだ。その相原先生のご著書である本書は良書としてお薦めできる。院生時代、何度も繰り返し読んだ。これしか読まなかったと言っても過言ではない。

はじめての中国語 (講談社現代新書)

はじめての中国語 (講談社現代新書)

*1:http://www2.ipcku.kansai-u.ac.jp/~nakazawa/hori.htm

*2:第二外国語として選択したのはロシア語。あの奇妙な文字が読みたかったのだ。