Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

経済学史研究会(合宿)が終了

僕は初日(21日)の第2報告(16:45-18:45)に当たっていたのだが、報告が終了したとたん、緊張の糸が切れてしまったのか、激しい疲れが一気に身体を襲ってきた。今回の報告準備は、時間との戦いという意味ではプロの研究者になってからいちばん厳しいものであったが、何とか最低限の責任を果たすことができたように思う。こうやって自分を追い込む環境を作らなくては筆が進まないというのも困ったものだが。

出席者から多くの有益なコメントを賜った。N村さんのコメントで気づかされた(僕自身は無自覚だった)のだが、今回の報告は、「ブリテンにおけるフランス革命」論争のサーヴェイという形を借りて、マルサス人口論』が1798年という時期に登場する必然性を語ろうとしている。「急進主義の多様性(と統一性)vs保守主義の多様性(と統一性)」、「バークがやり残した仕事のマルサスによる(意図せざる?)継承」が今回の報告の主たるストーリーであり、もっと詳しく言えば、「議論の重心を国制問題から経済(救貧)問題に移した新しいタイプの急進主義が台頭するに及んで、国制問題に関心を集中させるバーク流の保守主義ではもはや十分な応答が困難となり、それに代わってマルサスが新しいタイプの保守主義(経済学の介入:数量的に把握可能な世界として社会を捉える)を編み出した」ということである。字数制限に悩み、あれもこれも詰め込もうとしたしたために、(僕が大事にしている)ストーリーの明快さを忘れかけていた。N村さんのコメントは本当にありがたかった。

後輩院生のT堂君とM子さん、教え子のM本君もメールで率直なコメントを寄せてくれた。どうもありがとう。明日一日かけて原稿を推敲し、明後日にT中先生に最終的なチェックをしていただいて、この仕事(事典項目)をひとまず終える予定。