Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

上野洋子ライブ〜20周年につき初ソロ〜

上野洋子さん(以下敬称略)のライブ(@東梅田RAIN DOGS)に行ってきた。6時半開場、7時開演だったのだが、生憎金曜日は5限に授業があるので、どう頑張っても開場には間に合わない。会場が全席自由だった関係で、前売りの整理番号が若かったにもかかわらず立ち見になってしまった(嘆)。

上野洋子は一般的にはほとんど無名の歌手だろう。もともとはZABADAKというバンドのヴォーカルとして1986年にデビューした。アイリッシュ・トラッド色豊かな個性的な音楽で、90年代初頭には相当な人気を博した。個人的にもすごく応援していて、ライヴにも2度足を運んだ。

残念ながら上野は93年にバンドを脱退。その後はスタジオ活動(アニメやCMぼ音楽の製作)を主とするようになり、表舞台から姿を消した。何年かに1枚のゆったりとしたペースで、トラッド色の濃い(売れ線とはほど遠い)ソロ・アルバムを発表する程度だった。ところが、その上野がこのたびデビュー20周年を記念して、なんと初めての(!)ソロ・コンサートを東京・大阪で 1回ずつ開催する。今日が大阪でのライヴだった。

15年ぶりの生・上野だったが、その艶やかな歌声はまったく衰えていなかった。magicは健在だった。2時間以上、立ちっぱなしだったが、全然しんどくなかった。ただただ聞きほれていたので。

彼女を支えるバック・メンバーも超豪華な布陣だった。ドラムは大御所・仙波清彦。曲芸とも言うべきテクニカルなドラミングは、まるでBill BrufordStewart Copelandの良質な部分を足して2で割ったかのようだ。ベースは初期の遊佐未森の豊穣なサウンドを支えたあの中原信雄。John Wettonみたいな音色をうつむき加減にはにかみながら奏でるのだからたまらない。そしてギターは鬼怒無月。ボンデージ・フルーツのリーダーとして知られる敏腕ギタリストだ。Allan Holdsworth的超速弾き+Steve Hackett的人力SE+Robert Fripp的内省。圧倒されるばかりだった。こんなにすごいギタリストは見たことがないぞ!

この日のライヴを見たのはせいぜい250〜300人程度。売上代金から小屋代と交通費を差し引いたら、メンバーの手もとにはいくらも残らないだろう。かなりのリハーサルを要するような複雑な音楽なのに、本番はたった2回だけ。百戦錬磨のプロフェッショナルが奏でるプライヴェートでパーソナルな音楽、商業主義の彼岸にある音楽なのだ。

僕の人生でベスト5に数え上げられる素晴らしいライヴだった。

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