Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

ようやく公刊

4年間に及ぶ共同研究(経済学方法論フォーラム)の成果がこのたびようやく公刊された。

イギリス経済学における方法論の展開―演繹法と帰納法

イギリス経済学における方法論の展開―演繹法と帰納法

僕は第2章「《需要定義問題》とマルサスにおける経済学方法論の形成」を担当している。また、第6章「歴史学派における帰納法の意味」(佐々木憲介)と第10章「ケインズ帰納志向」(原田明信)に対してかなり面白い(自分で言うな!)コメントを記したつもりだ(この論文集では各章ごとに他の章を担当している執筆者がコメントを記している)。

第2章は拙著『イギリス保守主義の政治経済学』の第8章「マルサスのスミス受容(二)」の加筆・修正ヴァージョンである。もともとこの論文集に寄稿するために書き始めたのだが、諸般の事情で出版の順序が逆になってしまった。この共同研究に誘っていただいたからこそ、書くのに難儀していた第8章を書くことができ、拙著を完成させることができた。だからこそ余計に思い入れのある共同研究であって、その成果をこのように書物の形で発表できることは、たいへん嬉しいことだ。人名などに若干の誤植が残ってしまったことが残念だが、論文集として胸を張れる内容に仕上がっている。(専門度は高いけれども)自信作。

秋学期に担当する「経済学特殊講義」で教科書として使用する計画だ。内容が重厚なので、講義ノートの作成に骨が折れるが、夏休みにじっくり取り組みたい。