Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

英語で論文を書く

おそらく次回の教授会(4月9日)で報告・承認されるだろうが、来年度春学期(4〜9月)に在外研究に従事する。1度目の在外研究は12年前のことで、イギリスのエディンバラで1年間(2002年4月〜2003年3月)を過ごしたわけだが、2回目となる今回はオーストラリアのシドニーで半年間を過ごす予定だ。実は、昨年7月にHETSA(Perth)に参加した際、シドニー工科大学のRod O'Donnellさんに受け入れをお願いし、内諾を得ていた。ここ数年、英語論文の執筆と口頭発表に励んでいたのも、実は、この2度目の在外研究を意識してのことだ。

千里山大の在外研究の制度は、1年が1回、半年が1回なので、僕にとってはこれが在職中最後の在外研究になる。貴重な機会だ。できるだけ大きな成果を手に入れて帰りたい。それゆえ、在外研究先として(エディンバラの魅力は捨てがたいが)自分がここ数年研究活動の拠点としているオーストラリアを選んだ。2008年から本格的に取り組むようになった英語論文の執筆だが、幸いなことに、すでに2本が公刊されるに至り、某海外ジャーナルに投稿した3本目も現在査読結果を待っている状態で、今年7月のHETSA(Auckland)で報告するペーパーが4本目ということになる。この4本目の論文を海外ジャーナルに投稿できる水準にまでブラッシュアップすることが、2度目の在外研究の最大の目的になる。O'Donnellさんの専門領域(ケインズの哲学)に合わせて、4本目はケインズ(とマルサス)をテーマした論文で、目下、鋭意執筆中である。

英語論文の執筆についての悩みは尽きないが、苦痛は少しずつ軽減されてきている。試行錯誤を繰り返す中で、何となくコツのようなものをつかみつつある(とはいえ、まだまだかなりしんどいわけだが)。最近この本を読んだが、自分の試行錯誤が無駄でなく、むしろ真っ当で正しいやり方だったことを確認できて、大いに自信になった。

知的文章とプレゼンテーション―日本語の場合、英語の場合 (中公新書)

知的文章とプレゼンテーション―日本語の場合、英語の場合 (中公新書)

研究を講義に反映させ、講義で得た知見を研究に活かすことが可能なように、論文を日本語で書くことと英語で書くこととの間にも同様の相乗効果が期待できるのではないか。英語で書くことの不自由さが思考をシンプルに、論理的にしてくれる。日本語で書く時のようにレトリックや雰囲気でごまかせない。ちょっとMっぽい発想だけれど、自由よりも不自由からのほうが多くを学べるのではないか。娘が生まれてから限られた時間内にどうやって効率的に仕事を進めるかを強く意識し実践するようになったわけだし。