Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

素朴な疑問を、強く深く徹底的に

新ゼミ(2006年度)のシラバス(募集要項)を作成し事務室に提出→5期生T君・M君・Mさんと合同ゼミ合宿の打ち合わせ→『自由と所有』のゲラの校正、といった一日。

僕がゼミ生に望むのは、日常生活の中でふと浮かんできた素朴な疑問を大切にして、自分の納得がゆくまで強く深く徹底的に掘り下げることだ。ベストセラーになった『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』が典型的に示すように、素朴な疑問がとても深い真実を湛えている場合がある。逆に、小難しい専門用語をどんなに大量に頭の中に流し込んでも、肝心の脳みそのほうはまったく動いていない場合だってありえる。*1
いろいろと迷ったあげく最終的にこんなシラバスを書いた。現1回生には3月末に配布される予定だが、いちはやく公開することにする。

【テーマ】 脱常識の社会経済学--「あたりまえ」を問いなおす--
【指導概要】 6期生を募集します。なぜ勉強しなければならないのか? 大学で何を学ぶべきなのか? 何のために働くのか? 自分らしい仕事って何だろうか? どうすればクラブやサークルをまとめられるのか? 本演習では、このような日常の素朴な疑問や悩みを出発点に、自分と社会をめぐる「あたりまえ」を問いなおしていきます。
2・3年次には、テキストの分担報告にもとづく討論が中心となります。アプローチは非経済学(社会学・心理学・哲学・歴史学等)的でもかまいませんが、ゼミ生の関心があまりにもばらばらだと、討論が成立しにくいので、本年度は「学ぶ(教育)」と「働く(仕事)」を統一テーマに定めます。4回次には、卒業論文作成に向け、各自が関心のあるテーマを設定し、報告と討論とでもって演習を進めてゆきます。卒業論文は必ず書いてもらいます。
活発な討論の前提としてゼミ生間の強い信頼関係が必要ですから、そうした信頼を促進してくれる企画(飲み会・合宿等)は大歓迎します。「知識」よりも「好奇心」を、「学力」よりも「行動力」「企画力」「コミュニケーション力」を育む楽しいゼミにしたいと思っています。
【教科書】 浅羽通明『大学で何を学ぶか』(幻冬舎文庫) (変更の可能性あり)
【応募者への課題】 齋藤孝『コミュニケーション力』(岩波新書)あるいは土井隆義『「個性」を煽られる子どもたち』(岩波ブックレットNo.633)を読み、あなたの「コミュニケーション力」をアピールしてください。(回答スペースが足りない場合は、応募用紙の裏面を使うか、別紙を添付してください。)
【応募者への要望】 (1)クラブ・サークル・アルバイトよりもゼミ活動(飲み会・合宿等を含む)を優先できること。(2)提出課題について厳しく自己管理ができること。(3)パソコンの最低限の操作(E-MAILとワープロ)に通じていること。以上は最低限の要望。特に求める人材を挙げるなら以下の通り。自分を表現し他者に伝えたいという欲求の強い人。理屈っぽい人。自己改造をめざす人。やり場のないバカなパワーを持て余している人。授業料のモトをとって卒業したい人。食費や服飾費を削って書籍代に回せる人。応募にあたって、経済学音痴でもまったく問題はありませんが(修得単位数は不問)、活字嫌いにはまったく不向きなゼミです。選考に際しては面接を実施します。面接の実施要領をE-MAILで連絡しますので、応募用紙に連絡可能なアドレスを明記しておいてください。明記されていない場合は選考の対象外となります。

狭義の「経済学」ではなく「自分の頭で強く深く考える」ことを学んでもらうつもり。ゼミ生は「経済学部経済学科」ではなく「経済学部教養学科」(本当はこんな学科ないけれど)を卒業することになるだろう。*2

ゼミは言論の格闘技。常に真剣勝負を挑める「誠実」で「ひたむき」な学生を求む!

コミュニケーション力 (岩波新書)

コミュニケーション力 (岩波新書)

大学で何を学ぶか (幻冬舎文庫)

大学で何を学ぶか (幻冬舎文庫)

さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)

さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)

*1:この種の記事は、僕のゼミ運営のコンセプトにマッチしているので、つい目に留まってしまう。http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1676014/detail?rd

*2:ちなみに僕は「経済学部演劇学科」卒業。