午後は研究室に戻って、新ゼミ生(9期生)の募集要項を執筆する。昨年と同じ内容でもかまわなかったのだが、新鮮味がまったくゼロでは指導に際して緊張感を維持できないように感じたので、共通テーマ(昨年は「空気を読む」と「人間(友だち)関係」)をいじることにした。
- 専修・コース 社会経済専修 歴史・思想コース
- テーマ 脱常識の社会経済学――「あたりまえ」を問いなおす――
- 指導概要 9期生を募集します。なぜ勉強しなければならないのか? 大学で何を学ぶべきなのか? 何のために働くのか? 自分らしい仕事って何だろうか? そもそも「自分らしさ」って何だろうか? 本演習では、このような日常の素朴な疑問や悩みを出発点に、自分と社会をめぐる「あたりまえ」を問いなおしていきます。3年次には、テキストの分担報告にもとづく討論が中心となります。アプローチは非経済学(社会学・心理学・哲学・歴史学等)的でもかまいませんが、どんなテーマであれ、強く深く徹底的に考え抜くことが要求されます。ゼミ生の関心があまりにもばらばらだと討論が成立しにくいので、本年度は「お金」と「死」を統一テーマに定めます。4年次には、卒業論文作成に向け、各自が関心のあるテーマを設定し、報告と討論とでもってゼミを進めてゆきます。卒業論文は必ず書いてもらいます。活発な討論の前提としてゼミ生間の強い信頼関係が必要ですから、そうした信頼を促進してくれる企画(飲み会・合宿等)は大歓迎します。「知識」よりは「好奇心」を、「学力」よりも「行動力」「企画力」「コミュニケーション力」を育む楽しいゼミにしたいと思っています。
- 教科書 最終的には受講生と相談して決めますが、今のところ、以下の文献の中の何冊かを考えています。西原理恵子『この世でいちばん大事な「カネ」の話』(理論社)、草間俊介・畑村洋太郎『お金に学ぶ』(文藝春秋)、室井忠道・岸川真『おかね教育』(晶文社)、橋爪大三郎『だれが決めたの? 社会の不思議』(朝日出版社)、出口顯『臓器は「商品」か』(講談社現代新書)、鷲田清一『教養としての「死」を考える』(洋泉社)、小松美彦『自己決定権は幻想である』(洋泉社)、小松美彦『脳死・臓器移植の本当の話』(PHP新書)、広井良典『死生観を問いなおす』(ちくま新書)、島田雅彦・しりあがり寿『一度死んでみますか?』(PHP新書)、難波紘二『覚悟としての死生観』(文春新書)など。
- 応募者への課題 自己推薦文(スペースが足りない場合は、応募用紙の裏面を使うか、別紙を添付してください)。
- 応募者への要望 (1)クラブ・サークル・アルバイトよりもゼミ活動(飲み会・合宿等を含む)を優先できること。(2)提出課題について厳しく自己管理ができること。(3)パソコンの最低限の捜査(E-MAILとワープロ)に通じていること。以上は最低限の要望。特に求める人材を挙げるなら以下の通り。歴史・思想が好きな人。自分を表現し他者に伝えたいという欲求の強い人。理屈っぽい人。自己改造をめざす人。やり場のないバカなパワーを持て余している人。授業料のモトをとって卒業したい人。食費や服飾費を削って書籍費に回せる人。応募にあたって、経済学音痴でもまったく問題ありませんが(修得単位数は不問)、活字嫌いにはまったく不向きなゼミです。さびしがり屋で群れやすい人にも向きません。選考に際しては面接を実施します。面接の実施要領をE-MAILを連絡する場合がありますので、応募用紙に連絡可能なアドレスを明記しておいてください(携帯メール不可)。明記されていない場合は選考の対象外となります。中澤の個人ホームページ http://www2.ipcku.kansai-u.ac.jp/~nakazawa もぜひ一度のぞいてみてください。「ゼミ生のための部屋」に先輩ゼミ生の活動の様子が紹介されています。
「お金で買える(買ってよい)もの・買えない(買ってはいけない)もの」といった問題から、自己決定権・リバタリアニズムへ進んでもよいし、「お金といかにつきあうか」といった問題からビジネス倫理・労働倫理へ進むこともできるだろう。また、死生観という視点から昨今のスピリチュアル・ブームを考察したり21世紀日本の社会保障システムを展望するのもよいだろう。
ゼミのテーマとして「お金」を前面に押し出すのは初めて。「死」は2期生T君や3期生M君と頻繁に議論したテーマだが、最近ごぶさたしている。
腹筋2セット。