Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

重層主義

「経済学説史」春学期末試験の採点を続ける。

現2回生から新カリキュラムが適用されており、かつて4単位科目*1だった「経済学説史」は、春学期2単位科目*2「経済学説史1」と秋学期2単位科目「経済学説史2」とに分割された。したがって、春学期末試験で60点以上の成績を修めた場合、2回生は2単位で単位認定される*3が、3回生以上は秋学期末試験の成績と合算して4単位で単位認定される*4という、少々ややこしい事態になっている。2回生の採点結果は事務方に提出しなければならないが、3回生以上の採点結果は記録に残しておき、秋学期末試験の採点結果と合算して提出しなければならない。

とりあえず、2回生の採点結果はこんな感じになった。

履修者93 / 受験者89 / 優29 / 良16 / 可31 / 不可13(受験者の合格率85.4%)

1999年度の合格率42.8%、2000年度の合格率60.4%と比べると、ここ数年はかなり甘い点をつけるようになってきている。*5かつては若さゆえに必要以上に力んでいた気がする。昔の試験問題を見ても、自分が出題した問題であるが、かなりの難問だと思う。気負いが感じられる。

採点は単調で退屈な仕事だが、時折、思わず吹き出してしまうような珍答案に出会う。今回の採点でいちばん印象に残ったのはこれ。

アダム・スミスは貧民を救済するということで重層主義的規制を撤廃し、失業率の低下を引き上げた。失業を引き起こさないということは経済成長に大きなダメージを与えていると言える。そうすることで資本家つまりは供給者と貧民つまり需要者の関係が均衡状態を保つことができるのである。

この授業の最重要キーワードの一つである「重商主義」を「重層主義」と完全に間違って覚えているのが悲しいが、それ以外の文章も何度読み返しても意味不明で、次第にパズルを解いている時のような気分になる。「低下を引き上げる」とは? なぜ失業を引き起こさないことが経済成長に大きなダメージを与えるのか? 供給者は何を供給し、需要者は何を需要するのか? 均衡状態って何なのか? よくわからないまま丸暗記してうろおぼえで無理やり文章を書こうとするとこうなる、という典型例かもしれない。

今回の試験では、昨年度までと違って、最後の授業の際に問題を事前発表した。7問を発表して、そこから3問を出題することを予告した。それにもかかわらず、ほぼ毎回欠かさず授業に出席してくれている学生で答案が白紙だった者がいて、それがすごく残念だった。

さて、明日から盆休みである。一応、実家には帰省するけれども、PCを持参して少しでも単著の執筆を進めようと思っている。数日、ブログの更新を休止します。

*1:半期週2コマ、あるいは、通年週1コマの授業を指す。

*2:半期週1コマの授業を指す。

*3:「経済学説史1」のみ、「経済学説史2」のみの受講も可能である。

*4:したがって、秋学期末試験が散々なできだった場合、春学期末試験で60点以上を修めていても、修得単位数はゼロになる。

*5:昨年は86.9%。http://d.hatena.ne.jp/nakcazawa/20070810