Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

新生ジャーニー

ここ1、2か月、ジャーニーが僕のへヴィー・ローテーションになっている。名作『エスケイプ』(1981)、『フロンティアーズ』(1983)をリアルタイムで体験し、カラオケで「セパレイト・ウェイズ」を頻繁に歌っているくらいなので、定期的に(数年に1回ペースで)「ジャーニー聞きたい!」という発作に襲われるのだが、今回の発作はこれまでとやや趣きが違う。新ヴォーカリストアーネル・ピネダの加入によって、楽曲の良さを再認識せられたのだ。

たしかに、前任者スティーヴ・オージェリーもすぐれたヴォーカリストだった。しかし、ジャーニーのような長い歴史のあるバンドの場合、バンドの顔であるヴォーカリストは歌唱力だけでは務まらない。ステージ上の存在感・雰囲気がバンドの歴史とマッチしていなければならない。*1ステージ上のスティーヴ・オージェリーを(ビデオで)見た時の僕の第一印象は(スティーヴ・ペリーと比べて)「硬い」「まじめ」「親しみにくい」というものだった。ファンがバンドとの一体感を感じられるような独特の「ゆるさ」が欠けているように思われた。ところが、アーネル・ピネダには抜群の歌唱力に加えてそうした独特の「ゆるさ」が完璧なまでに備わっていた。歌っている姿をビデオで初めて見た時、ジャーニーの世界観とあまりにマッチしていて、驚きを禁じ得なかった。

こんなわけでジャーニーである。このアルバムをBGMにして、ダンベル4セット、腹筋4セット。「スザンヌ」を聞くと、ドン・ヘンリーの「ボーイズ・オブ・サマー」を想像するし、「アイズ・オブ・ウーマン」を聞くとエイジアの「ミッドナイト・サン」を想像する。それほどまで80年代AORに典型的な透明感のあるミキシング。気持ち良すぎて聞き流してしまいそうになるが、じっくり聞いてみると名曲ぞろい。アルバムとしての完成度はきわめて高い。

Raised On Radio~時を駆けて(紙ジャケット仕様)

Raised On Radio~時を駆けて(紙ジャケット仕様)

*1:エスにおけるトレヴァー・ホーンジェネシスにおけるレイ・ウィルソンに対してファンが示した反応から、それは明白だろう。