恩師T中先生(現在研究科長・学部長)から依頼され、半期だけであるが、京大で「経済学史」の非常勤講師を務めることになった。今日がその初回である。卒業から18年たって初めて母校の教壇に立ったわけだが、緊張と感慨が入り混じりつつも何より喜びに満ちた経験であった。
18年の間に京大の校舎はかなり改修され、あの頃の姿をとどめている教室のほうが少ないくらいだが、「経済学史」にあてがわれた法経五番教室は、その頃とほとんど変わらない。「財政学の期末試験をあのあたりの席で受けたっけ。試験中に貧乏ゆすりをして、隣の学生に怒られたな」いった思い出が自然と湧き出てくる。初回ということもあって、200名の教室キャパを大幅に超える出席者に恵まれた。すべての座席がびっしりと埋まり、立ち見まで出た。しかし、京大生の「いったいどんなヤツが授業するんだ? ちょっと初回だけでも見てやろうか?」といった野次馬気質が健在であれば、2〜3週間もすれば、100名程度まで減るはずだ。僕の学生時代は、どの授業もそんな感じだった。
恩師(T中先生・HR先生)の思い出話を織り交ぜつつ、「経済学史」という科目の性格と授業の進め方について簡単に説明し、授業ガイダンスとする。「経済学を哲学する」というアプローチをあえて強く前面に押し出した。哲学的な思索が苦手な学生は履修を変更するだろう。
京大の授業は1限目だが、自宅から京大まで徒歩10分なので、実は関大で2限目を担当する時よりも、朝をゆっくり過ごせる。副学部長業務で多忙な中を引き受けた非常勤講師なので、この点はありがたい。と言うよりも、片道1時間以上もかかるような非常勤先であったなら、依頼を引き受けられなかったように思う。
2限の間に京大から関大に移動。関大には12時前に到着。それから19時まで会議が3連発。何だかなぁ。こんな生活でええんかいな? ほんまに勉強できひんわ。
久々に同僚Kさんと夕食をともにしてから帰宅する。
【11096】