Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

「経済学説史2」採点結果

採点終了。こんな結果になった。

履修者192 / 受験者175 / 秀11 / 優35 / 良49 / 可72 / 不可8 (受験者の合格率95.4%)

レポートの論題は、教科書『ビジネス倫理の論じ方』の第2〜7章のうちの任意の章*1をとりあげて、講義内容の要約と感想を1600〜2400字で書いてもらうというもの。今年度は提出されたレポート175本(ただし1本は論題と無関係な内容であったので実質的には174本)の内訳がとても興味深かった。

  • 第二章「社会的企業:どこまで何を求めうるか」(郄橋聡)・・・30
  • 第三章「組織と仕事:誰のために働くのか」(中澤信彦)・・・41
  • 第四章「競争と格差:何のために競うのか」(太子堂正称)・・・22
  • 第五章「消費者主権:お客様は神様か」(原谷直樹)・・・23
  • 第六章「食と安全:何がどう問われるのか」(板井広明)・・・37
  • 第七章「企業と国家:国境を越える責任とは」(中山智香子)・・・21

受講生の論題の選択は、例年、第六章に集中しがちだったが、今年度はバランスよく分散した。今年度初めて本格的に講義した第二章がかなりの人気を集めていることがひときわ目を引く。実際、僕自身もかなり力を入れて第二章を講義した。13期生が西日本インカレでソーシャル・ビジネスについてプレゼンしたので、その指導の過程で僕自身の関心・知識が高まり、それが講義に反映されたことが大きかったように思う。

残念ながら、例によって、第六章のレポートの水準がきわめて低かった。「書きやすそうなテーマだ」と思い込んで安易に書き流したレポートばかり。ベンサムやP・シンガーの議論に感情的な反発を示すだけで、その議論の根底にある功利主義思想について考察したレポートは皆無であった。当然、評価は低くなる。ただし、剽窃などの不正がなく論題の要求(フォーマット)に正しく答えているかぎり、理解力が多少おぼつかなくてもそれに目をつぶって「可」の評価を与える基本方針であるので、合格率はそれだけ高くなっている。

【10698】

*1:時間の都合で今年度は第1章を講義せず、代わりにこれまで省いていた第2章を講義した