Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

『悲しき熱帯』

のぶちゃん引越センター


今日から「大学院(&番外編)」では、文化人類学(と言うよりも西洋思想)の不滅の大古典であるレヴィ=ストロース『悲しき熱帯』にチャレンジする。本書は著者がブラジル奥地での調査で得た民族誌的知見を集成したものなので、ブラジルの地図を見ながらのほうが理解が深まるだろうと重い、出勤途中に烏丸三条のO書店に立ち寄り、久々に地図帳を購入。ついでに就職活動を始動させた4期生のために「業界マップ」と「市場占有率」の最新版、そして、同僚H野さんがブログで紹介していた『歴史を学ぶということ』『アメリカの高校生が学ぶ経済学』も購入。

O書店を出て烏丸通りを下っていくと、「のぶちゃん引越センター」なる引越業者の派手なトラックを発見した。「驚異のパワフル集団参上!!やる気!元気!笑顔!」がキャッチ・フレーズのようだ。自分の名前が「のぶひこ」なので、恥ずかしかった。そう言えば講義アンケートの中に「先生はいつもほっぺが赤いですね」というのがあったなぁ。なぜかこのキャラクターもほっぺが赤い・・・。

昼休み。3期生F田さんが前回のゼミ(欠席)の配布資料(M川論文)を取りに来る。ついでに近々実施する予定の「(後輩ゼミ生のための)就職活動報告会」についても相談をする。みかんをたくさんいただきました。どうもありがとう。みかんは大好き。今日だけで5個も食べてしまったよ。

3限「英語塾」。今日は「聞く」ではなく「話す」が主眼。今学期から参加のN田君もいることなので、基本に立ち返って「自己紹介」から。遠山裕美子&藤原和博のメソッドを利用して、自分の名前を聞き手に印象づけるレッスン。「途中で立ち止まらず、リズミカルに!」が大原則。1名がプレゼン役を、1名が質問役を務める。「話す」のはかなり久しぶりなので、多少のモタモタ感は残っていたが、さすがに前学期から継続して参加しているM田君・O田君は、プレゼンでも質問でも、不自然な沈黙を作ったりしなかった。他方、こうしたレッスンが初めてのN田君は大苦戦。質問ができなかったのは、質問内容を日本語で考えようとしていたせいだと思うな。

3限が終わりかけた頃に、4期生K村さんがリクルート・スーツ姿で現れる。一瞬見違えた。午前中某社の説明会に参加した模様。その報告を聞く。環状線朝ラッシュを初体験して「死ぬかと思った・・・」。その後O田君・N田君を交えての就職活動対策雑談会議へと発展。話は尽きなかったが、6限の予習が不十分だったので、4限終わりでいったん学生には退室してもらう。5限はひたすら『悲しき熱帯』を再読。

6限「大学院(&番外編)」。『悲しき熱帯』1-7章。報告者はテキスト推薦者であるOKB君。彼は前期に「キノハチ研究会」でデカルト方法序説』を読んでいるが、メンバーの大半にとって古典をまともに読むのは今回が初めて。第一印象を尋ねたところ「面白くない」「つかみどころがない」といった否定的な声が多く聞こえたが、細部を検討していくうちに、彼らの顔つきが変わってきた。いくらでも論点が摘出できる楽しさに目覚めてくれた模様。*1OKB君のレジュメ、プレゼンも良かった。大盛況で『悲しき熱帯』の初回を終えることができた。京大や大阪市大と比べても議論のレベルはまったく遜色なかったように思う。

本来この授業は大学院の講義科目(経済思想史研究)なのだが、数名の学部生・卒業生が単位と無関係に参加している。今日の報告者のOKB君もその一人。彼は理由あって現在5回生なのだが、彼が僕のゼミに入ってきたには3回生の4月なので、すでにつきあいは2年7ヶ月にも及ぶ。彼は4期生(現3回生)ゼミのチューターもボランティアで務めてくれている。2005年度のnakcazawaゼミの顔と言ってもよい存在だ。これまで僕が担当したどのゼミのクラスも「西洋思想の古典(原典)を読む」という決断を下すことができなかったが、OKB君の鶴の一声のおかげで、このたび初めて学生主体で古典をテキストとして採用するに至った。2年7ヶ月という歳月をかけてようやくここまで登ることができた。残り数回。頂上までもう少しだ。最後の日まで一歩一歩着実に登り続けよう。頂上からの眺めの素晴らしさは登頂した者にしかわからないものだ。

悲しき熱帯〈1〉 (中公クラシックス)

悲しき熱帯〈1〉 (中公クラシックス)

英語 自分を語る英語術 ― [よのなか]教科書

英語 自分を語る英語術 ― [よのなか]教科書

*1:こんな感想があって嬉しいかぎり。http://d.hatena.ne.jp/akira9231/20051029