Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

フランケンシュタイン

夜は久々にDVDで映画を楽しむ。作品は「フランケンシュタイン」。モンスター役のボリス・カーロフの怪演で有名な、1931年製作の(なんと75年前!)、ホラー映画の古典中の古典だ。首からボルトが突き出ているモンスターのステレオタイプなイメージはこの映画に由来する(はず)*1。ずっと前から観たいと思っていた。

実はこの映画、僕の専門的研究とまったく無関係ではない。僕はマルサスという経済学者を専門的に研究しているわけだが、マルサスの著書『人口論』のなかで名指しで批判されている急進的思想家の一人がウィリアム・ゴドウィン。そのゴドウィンの娘が「フランケンシュタイン」の原作者であるメアリ・シェリーだ。「マルサス→ゴドウィン→シェリー」という思想的系譜に関する研究書も出ているくらいで、研究上の理由からも「フランケンシュタイン」に興味があったわけだ。

原作はイギリス留学中(2002年度)に読んだのだけれど、少なくともこの映画に関しては、原作を読まないで観るほうがよかった。原作との違いとか端折られた部分がどうしても気になってしまった。モンスターの誕生までに上演時間の半分以上が費やされている。モンスターと人間との言葉のやりとりがまったくない(原作と違ってモンスターは言葉を発さない)。フランケンシュタイン博士の館を飛び出してからの放浪の日々の大半がカットされ、モンスターの実存的苦悩というテーマは消失してしまった。それによってストーリーが単純化され、エンターテイメントとしてのクオリティは高まったと思うので、文句を言ってはいけないのはわかっているのだけれど。

台詞の英語は若干の医学用語を除けば易しい。今の僕の拙い英語力でも何とか聞き取れる。英会話の教材としていいね。何度も繰り返して観ようっと。

フランケンシュタイン (創元推理文庫 (532‐1))

フランケンシュタイン (創元推理文庫 (532‐1))

Progress, Poverty and Population: Re-reading Condorcet, Godwin and Malthus

Progress, Poverty and Population: Re-reading Condorcet, Godwin and Malthus

*1:映画マニアではないので必ずしも正確な情報ではありません。