Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

少年愛 / 師弟愛

大学には行かず、一日中自宅で仕事。*1主としてプラトン関係の文献を読み進める。

『饗宴』を読み始めて以来、再三にわたり言及される「少年愛」のことがずっと気になっていた。そこに描かれているのは、今日「同性愛」という語がもつ背徳的で病的なイメージとはかけ離れた、陽気で健康的なイメージとしての「少年愛」。古代ギリシャの貴族社会では一つの公然たる習慣として認められていたようなのだが、自分が今生きている世界とあまりにもかけ離れているので、古代ギリシャ人の精神を追体験する上での大きな障害になっていた。

今日ようやく一筋の光明が差してきた。「少年愛」を「師弟愛」と読み替えることによって、古代ギリシャの貴族社会と今の自分が生きている世界とが一気に接近するように感じた。例えば、以下の一節における愛者と少年との関係は、指導教員と院生との理想的な関係として読めないか?

実際愛者とその愛する少年とが同一目標に向って進むとき、すなわち両者おのおの自身の格率(ノモス)に従い、前者は己に好意を示す少年に対していかなる奉仕をも(それが正しいかぎり)厭うことなく、後者は自分を賢明かつ優秀な者にしてくれる人に対していかなる奉仕をも(それがただ正義に適ってさえいれば)あえてするとき――しかもまた一方は智見やその他の徳の増進に貢献する能力を持ち、他方はこれに対して教養やその他の智慧を獲得せんとする欲求を抱いているとき――その時にこそ、かくこの両格率が一つに結合したとき、ただその時にのみ愛された少年が愛者に好意を示すことの誉となる場合が実現するのである、他の場合には絶無なのである。(岩波文庫・久保勉訳、68-9ページ)

ようやくこれでわかった気がした。でも「気がした」だけ。素人読みなので、正しく読んだという十分な自信はない。もっと勉強しなければ。

*1:夕刻に散歩がてら少しだけ不動産屋を回る。