昨夜、たまたま手にとって読み始めた諸富祥彦『<むなしさ>の心理学 (講談社現代新書)』にはまってしまう。僕が39年10か月間に遭遇した人生の難問が明確な言葉で表現されていて、たいへん驚かされ、そして感動させられた。まだ一度しか通読していないので、もう一度読み返そうと思う。
私的メモ:
やはりエゴイズムの克服といった「個の内面の変革」なしには、真の社会の変革はありえないのではないか。これが人間性心理学、トランスパーソナル心理学という新しい心理学の考えである。(p.204)
以前、ある研究会の講師に招かれた中学校の教室で、私は、たまたま掲示されていた子どもの作文に目をとめた。
「真実を言う。正しいことをする。そんなこと、ほんとうはとても単純で、誰でもできることのはずだ。ただ、人間関係というややこしいものさえなければ。人と人が共に生きていくことは、どうしてこんなに難しく、複雑なのだろう。
正しいことを言ったばかりに、陰で何かを言われてしまう。正しいことをしたばかりに周囲から浮いてしまう。
こんなことを恐れ、見て見ぬふりをした経験が、私には何度かある・・・。」この作文を目にした時、私は思わずその場に立ちすくんだ。そこにかつての自分の苦しみを見たからである。(pp.205-6)