Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

私的メモ(國分康孝『カウンセリング心理学入門』より)

これもまた後日「乱読ノート」できちんと採りあげるつもりですが。

臨床心理学は病理的なパーソナリティを主たる対象にするので世界は限られてくる。しかしカウンセリング心理学は健常者を主たる対象とするので世界は広い。家庭生活、職業生活、対人関係、健康問題のいずれもがカウンセリング心理学の活動範囲となる。職業生活といっても教師の世界、ナースの世界、企業人の世界など対象とする生活空間は広い。教師は教師なりに、ナースはナースなりにそれぞれカウンセリングの生かし方がある。(p.33)

臨床心理学は病理的パーソナリティ(神経症・性格障害・精神病)の研究と治療が主たる守備範囲である。ところがカウンセリング心理学は、問題をかかえた健常者および問題を持っているわけではないが今よりもさらに成長したい健常者を主たる対象にするものである。前者は治療(cure)志向であるが、後者は問題の解決・問題の予防・行動の発達(care)をそれぞれ志向するものである。(p.43)

「臨床心理学」と「カウンセリング心理学」の違い(あるいは「心理療法」と「カウンセリング」の違い)なんて、これまでまじめに考えたこともなかったが、本書を読んでその違いがよくわかった。著者のように「カウンセリング」を「援助活動」と訳してくれると腑に落ちる。教師として学生と接する上で心理学の知識が必要だと漠然と思っていたが、厳密に言えば、必要なのは「カウンセリング心理学」の知識のようだ。河合隼雄さんの本を読んでいて、「カウンセリング」を「心理療法」の一種と理解したものだから、話がややこしくなっていた。就職活動で悩んでいる学生を病人(の卵)のように扱うのはやはり変だもの。

本当は心理学の本ばかり読んでいてはダメなんだけどね。他にも読まなきゃならない本がたくさんあるから。