Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

マルサス研究の深まり

午前中、授業準備。午後、ZOOMで授業。3限、19期(3回生)ゼミ。9名の2回生見学者。4限、18期(4回生)ゼミ。5限、経済学説史。

経済学説史は今日がリカードの3回目(最終)で、来週からマルサスを扱う。今年度からマルサスについての講義レジュメに関して『人口論』の経済史的背景を中心として抜本的な改訂を行いたいと思い、ここ2か月ほど関連文献を暇を見つけて読み進めてきた。一時は「間に合わないかも」と焦ったが、今日の午前の集中的作業で何とか間に合わせられそうだ。

経済学説史の講義らしく、「マルサスの罠の打破→技術革新の重要性→ソローモデル」まで進もうとしたが、さすがに時間切れ。しかし今後のアップデートへの展望が得られた。方法論(ポパーの反証主義)と関連付けるのに少々飽きてきたので、今後しばらくはこの方向で改訂作業を進めよう。これで福井県立大で来年度夏期集中で担当する「西洋経済史」の講義のフレームワークも見えてきた。マルサス『人口論』をテキストにして、その経済史的背景に焦点を当てて論じるつもり。人口史はケンブリッジ・グループ(ラズレット、マクファーレン、トッドら)、産業革命史はハットンの業績に依拠する。そこにソローの経済成長論の解説を絡める(元ネタは小田中直樹『ライブ・経済史入門』)。大塚史学、世界システム論(ウォーラーステイン)との関連にも触れたい。これで「西洋経済史」らしくなるはず。

このたびの講義準備でマルサス『人口論』の経済史的背景についてかなり理解を深めることができたが、それでも移民論や価値尺度論など手付かずのテーマはまだまだ多い。マルサスで新書1冊書ける日はまだまだ先だな。もうすでに四半世紀以上も研究しているというのに。「少年老い易く学成り難し」とは本当によく言ったものである。

ゼミ20期生募集(一次)は明日締切。さて、どんな結果になるだろうか。

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