Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

青森へ初出張

経済学史学会東北部会(於弘前大学)に参加(含研究報告)するため、3泊4日で青森に出張した。青森を訪れるのは今回が初めてである。

ちょうど昨年の今頃、弘前大学での東北部会開催が予定されており、久々の対面での学会開催(with 未踏県青森への関心)ということもあって、参加する気満々で準備していた。ところが、青森県の新型コロナの収束状況があまり芳しくないということで、直前になって開催方式が対面からオンラインへ変更され、青森への初出張は幻となってしまった。*1

このたびは1年ごしの仕切り直し(リベンジ?)となったわけだが、3月29日の診察で主治医(京大病院呼吸器内科)から空路利用の許可が出なかったため、陸路(鉄道)での移動となる。京都の自宅から弘前のホテルまで、door to doorで8時間以上かかる計算になるが、他に選択肢がない以上、耐え忍ぶしかない。

往路は東海道新幹線(京都~東京)も東北新幹線(東京~新青森)もほぼ満員で、人の圧が強すぎて、PCで仕事をするどころか、読書すら落ち着いてできず、眠るかぼぉっとするかしかなかった。弘前には新幹線が通じておらず、新青森~弘前は在来線(奥羽本線、約40分)で移動するしかない。弘前駅に到着した頃にはすでにヘトヘト。しかもめちゃくちゃ寒い。上着を着ていても震えあがるほど。この時点では「出張を陸路で強行したのは失敗だったかも」と後悔し始めていた。

ところが、何ともうれしいことに、開催校世話人の弘前大FKDさんが「前夜祭」(笑)を準備してくださっていた。しかも、「弘前に行くなら絶対に訪れたい」と前々から思っていた焼鳥店「鳥ふじ」にて。ここは吉田類が酒場放浪記で訪れたことがあり*2、その放送を見て以来、「いつか弘前を訪れた際には・・・」と目を付けていた焼鳥の名店なのだ。この日記ではこれ以上詳しく書かないが、期待をはるかに上回る、最高レベルのおいしさだった。この店を出た時には、数時間前の後悔は完全に消え失せ、「はるばるやってきて大正解だった」との確信を得たのである。

さて、学会のほうだが、僕は第1報告(全3報告)の担当で、先ごろ公刊した『経済学史入門―経済学方法論からのアプローチ』で僕が執筆した第1章「経済学誕生以前の経済認識の枠組みはいかなるものであったか―ポリュビオス、アウグスティヌス、マキャヴェリ」について、執筆の背景をなす問題意識にも詳しく触れながら報告した。3名の会員から良質なフィードバックを頂戴した。特に東北大のFRYさんが高く評価してくれたことは、大きな励みになった。第3報告では司会者を務めた。全17名の参加であったが、対面での参加がわずか3名にとどまった(オンラインでの参加者が14名)のは、さすがに残念で、さびしかった。*3対面であれば、懇親会で議論の続きができたので。

ただ、弘前を実際に訪れたおかげで、学会の前後の時間にFKDさんが津軽のみならず下北までも車で案内してくださり、それが自分にとってものすごく貴重な経験になった。最初のうちは、経済学史学会、マルサス学会、科研費、若手研究者育成など研究関係の話題が議論・会話の中心だったが、次第に話題は「日本と東北(特に青森)」「構造的権力」へとシフトしていった。同じ関西出身者ながら関西を一度も出たことのない自分と、青森での生活が20年を超えるFKDさん。関西からはなかなか見えづらい東北(特に青森)の実状について、たくさん教えていただいた。

岩木山は本当に美しい。津軽富士の名に偽りなし。地元民が愛してやまないのもわかる。これを肉眼で見るためだけでも、弘前を訪れる価値は十分にある。宿泊ホテルの最上階(朝食会場)からの眺め。

津軽ダム。2016年完成。ダム湖「津軽白神湖」の湖底には廃村集落が沈む。

本州最北端の大間町で食べた超極上の海鮮丼。津軽海峡をはさんで函館がうっすらと見える。

弘前の桜はかなり散ってしまっていたが、下北半島はちょうど満開の時期であった。

下北半島は核関連施設のみならず風力発電機の密集地帯でもある。それだけ風が強いということでもある。

今回の出張の最大の誤算は、出張期間中に黄砂(pm2.5)が青森を襲来したことである。4日間の滞在ですっかり器官をやられてしまった。喘息の一歩手前のような症状が出てきている。これ以上悪化させないよう、本当に気を付けないと。

本日4月24日は、10時前に弘前のホテルをチェックアウトして、京都の自宅に到着したのは18時半過ぎ。ヘトヘトになって帰宅。

最後に、蛇足ながら、これは帰りの新幹線の車内から撮った富士山。(黄砂で?)かなり霞んでおり、何となく葛飾北斎っぽい。

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*1:https://nakcazawa.hatenablog.com/entry/20220423/1650718649

*2:https://bs.tbs.co.jp/sakaba/shop/513.html

*3:僕は報告者なので、かまり早い時期からホテルをおさえていたが、学会が青森の観光シーズンと重なり、ホテルの残室がわずか&高価だったことが、対面参加者が増えなかった理由のように思われる。実際、僕の宿泊ホテルでも、外国人の観光客の多さが目立った。円安だしなぁ。