Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

International Conference on Economic Theory and Policy at Meiji University

3泊4日の東京出張。毎年9月に明治大学で開催されている国際会議(International Conference on Economic Theory and Policy, 9月13-15日)に初参加し、研究報告を行ってきた。ネオ・リカーディアン(スラッフィアン)やポスト・ケインジアンと呼ばれる異端派の理論経済学者たちが主として集うこの国際会議は、僕にはかなり「畑違い」なのだが、今年はアダム・スミス生誕300年を記念する特別セッションが組まれる*1ということで、英語での報告機会を求めて――現時点では肺疾患の関係で海外の学会に参加することが不可能なので――参加することにした。

僕の研究報告"Hiroshi Mizuta (1919–2023): A Life in Search of the Origin of Democracy "は国際会議初日(9月13日)の16:15-17:05に組まれた。スミス・セッションの中の一報告としてである。日本語ではすでに2回(2023年7月8日経済学史学会関西部会、9月8日ヒューム研究学会)報告を行った内容であるが、英語で報告するのは今回が初めてである。英語での(単独)報告は2019年10月以来4年ものブランクがあり、英語勘がかなり鈍っているという自覚が強くあったので、前日(9月12日)でもホテルの部屋で予行演習を行うなど、できるかぎりの準備をすませ、前々日・前日の飲酒も極力控えて、万全の体調で本番に臨む。

本番のプレゼンテーションは、練習の成果が出て、ブランクの長さを考えるとまずまずのできであった気がする。質疑応答のほうは、事前練習ができないため、スムーズとは言い難かったものの、何とか割り当てられた時間をまっとうできた。Heiz Kurzさん、Bertram Schefoldさん、(9月10日に京都で夕食をともにした)Christian Gehrkeさんといったビッグネームから好意的なコメントや感想をいただけたので、十分に意味のある報告であったのではないか。

また、この国際会議では、修士論文の副査を務めてくださった塩沢由典先生(大阪市立[公立?]大学名誉教授)と、学生時代以来25年以上ぶりにお会いし、お話しする機会が得られた。塩沢先生は国際会議3日目(9月15日)の最後(16:00-17:00)に登壇し、キーノート・スピーカーとして熱弁をふるわれた。今回の国際会議参加の最大の収穫は、超久々に塩沢節を堪能できたことかもしれない。その他にも、若手スラッファ研究者Lee Gunwooさん*2と、初日の昼食の席がたまたま隣だったことがきっかけで、親しくなることができたし、森岡真史さん(立命館大学)、野崎道哉さん(岐阜協立大学)、 卫娣さん(愛知大学)らの知遇も得られた。特にロシアを専門とする森岡さんからは、幸運にも、ロシア関係の研究会を紹介していただけた。

今回の出張には、付随する楽しみも多かった。筋金入りのやきとんファンを自認する者として、大塚の「富久晴」、浅草橋の「西口やきとん」という聖地二か所を再訪することができた。15日の夜にはゼミ卒業生OKMTさんと一緒に、前々から目を付けていた「肉汁餃子のダンダダン 浅草橋店」をようやく訪れることができた(近い将来再訪確定のおいしさ!)。御徒町の銭湯「燕湯」が朝6時から営業しているのをたまたま知り、3日目はそこでひと風呂浴びてから国際会議に参加した。出張疲れがかなり癒された。

以上のようにたいへん有意義な今回の東京出張であった。唯一の誤算(トラブル)は、帰りの新幹線が大雨の影響で1時間半近く遅延したことだが、その日のうちに何とか無事に京都の自宅へ戻ることができたので、そういう点ではむしろ幸運だったと考えるべきだろう。最後に、HETSA以上の規模の国際会議を毎年主催している明治大の八木尚志さんの組織力の高さと人脈の広さ(さらには流暢な英語)に感服した。貴重な機会を与えてくだったことに対し、この場を借りてお礼を申し上げる次第である。

【8619】【9868】【7174】【11561】

*1:リカードウ没後200年を記念する特別セッションも組まれた。

*2:大阪のお笑いとX JAPANのファン。英語のみならず日本語も堪能。素晴らしい研究発表だった。