Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

30年前の鴨川

深夜に某公共放送で1976年放送の新日本紀行「鴨の河原」の再放送をやっていた。約30年たっても変わらぬのどかな風景に感動と安らぎを覚える。僕が京都にやってきたのは1987年4月。当時は京阪電車はまだ地上を走っており、終点は三条駅だった。春の宵、走行する京阪電車にライトアップされた鴨川の桜並木は実に風情があり、時に幽玄とも言える美しさを誇った。

僕は1968年に兵庫県姫路市大塩町に生まれて、その後、父の転職にともなって、高砂市荒井町、高砂市西畑へと居を移した。今実家はその高砂市西畑にあるが、僕はそこには3年弱しか住んでいないので、あまり愛着を持っていない。上に書いたように京都には1987年4月から住み始めたが、最初の住処は左京区川端丸太町で、後に左京区吉田泉殿町に引っ越す。大学院修士課程の2年間(1993年4月〜1995年3月)だけ大阪(長居、寺田町)に住んだが、京都が恋しくなって博士課程進学とともに戻り、左京区吉田泉殿町、吉田下阿達町、そして現在は吉田牛ノ宮町に住んでいる。至近距離で引っ越しを繰り返し、鴨川畔には合計17年半住んでいることになる。鴨川の河原は僕の庭であり勉強部屋でもある。どれだけの本を読んだことだろう。マルサスの『人口論』を読んだのも鴨川だ。なぜか記憶が鮮明だ。今実家で元気に過ごしている愛犬チロは、鴨川にかかる荒神橋の下に捨てられていたのを拾って、実家に引き取ってもらった。家族ぐるみでおつきあいさせてもらっているご近所の人も多いが、鴨川の河原が犬の散歩コースということもあり、犬がらみで知り合った人が大半だ。

今住んでいる牛ノ宮の家の賃貸契約は来年7月まで。大家さんのご都合で更新はできない。吹田まで通勤するのもそろそろ体力的にしんどくなってきた。これを機会に吹田近辺に引っ越すことが得策なのはわかっているのだけれど、思い出がたくさんつまったこの土地を離れる決心がなかなかつかない。もちろん家族の声も無視できない。まだ1年近くあるが迷うところだ。