Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

今日のBGM

1970年代〜80年代初頭の日本の音楽シーンをオフコースとともに牽引したチューリップ。そのチューリップの数あるアルバムの中で最高の一枚として僕が推したいのが、1982年にリリースされた本作だ。シングル・カットして大ヒットしそうななキラー・チューンは含まれていないが、楽曲の一つ一つが粒揃いで、しかもアルバム全体が宇宙的・SF的なイメージで統一されている。70年代のフォーク色は一掃され、疾走感にあふれるパワフルなリズムとシンセサイザーを多用したカラフルな音像がアルバム全体を覆っている。コンセプト・アルバムの趣すらある。自慢のコーラス・ワークはいつもにもまして圧倒的な美しさを誇っている。今回十数年ぶりに聞きなおしてみて気づいたのだが、ラスト・ナンバーの「アルバトロス」は、一番と二番ではメロディーはほとんど同じなのに、長調から短調へと変調している。サティの「ジムノペディ」みたいだな。こんなに凝った曲を書くとは、さすが財津和夫。しかし「オフコース=小田」ではないのと同様に「チューリップ=財津」ではない。第二のソングライター&ボーカリストである姫野達也の存在はやはり大きい。二人がハモればチューリップ、と言ってもよい。イエスのアンダーソンとスクワイアのようなものだ。財津と姫野との緊張関係がチューリップをチューリップたらしめた気ように思う。安部俊幸のギターも素晴らしい。細やかなカッティングとセンスのいいギターソロはもっと高く評価されるべき。バンドとして絶頂期の音。

2222年ピクニック (紙ジャケット仕様)

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