Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

ひと山こえた気配

ここ数回、6限の大学院(経済思想史研究)では、文化人類学の不滅の大古典、レヴィ=ストロースの『悲しき熱帯』を受講生と一緒に読んでいる。先週の授業(8-14章)は、学会報告の前日ということもあり、準備が不十分だった。13・14章などは完全に斜め読みになってしまって、ポイントをつかむことができなかった。この点の反省もあって、今日は朝からずっと(3限の英語塾の時間帯を除いて)『悲しき熱帯』をひたすら読み込んでいた。さすが大古典だ。二度、三度と読み返すと、読み返しただけの新しい発見があった。

レヴィ=ストロースは、ブラジル南部の諸都市が東から西へと市街地を拡大していく姿に、文明がアジアからヨーロッパ、新大陸へと伝播していく姿を重ね合わせている。また、カルカッタのカーリーの女神の神殿から強制収容所を連想し、インドのカースト制度から西洋文明の未来の姿を想起して恐怖に慄いている。

こんな印象的な叙述が頭に残らなかったのだから、よほど先週は精神的に余裕がなかったんだな。受講生には悪いことをした。もちろん今日の授業でおわびを兼ねた補足解説をしたけれども。

『悲しき熱帯』も今日で半分(上巻)読み終えた。その隠喩だらけの文体にもだいぶ慣れてきた。来週から下巻に入る。読み進めるのが楽しみだ。

怒涛の日々も今日でひと山こえた気配。年内にもうふた山ほどあるけれど(12月10日=日本イギリス哲学会関西部会での研究報告、12月20日=ビジネス・エシックス研究班の研究成果報告書締切)、明日・明後日は久々の休日なので、疲れのたまった身体を癒して、新しい週を新鮮な気持ちでスタートさせたい。