Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

集中講義「経済学特別講義1」@沖縄国際大学

集中講義@沖縄国際大学


8月2日から10日まで生まれて初めて沖縄に滞在した。沖縄国際大学宜野湾市)で非常勤講師として夏期集中講義を担当するためである。去年の夏、同大学に勤務するIさんから依頼され、快諾した。旧知の間柄の後輩研究者からの依頼であったし、また、未踏の地での講義ということで、ワクワク感も大きかった。学期中であれば、本務校で全学の役職(研究推進部副部長)を務めている関係で会議が頻繁に入り、非常勤講師を務める時間的余裕などとてもないくらいに多忙だが、夏季集中講義だったために会議ともバッティングせず引き受けることができた。講義名は他の科目との関係で「経済学特別講義1」となったが、「基本的に何をやってもらってもかまいませんよ」(Iさん)ということだったので、本務校での「経済学説史」の講義内容からスミス、リカードマルサスマルクスケインズという5名の経済学者をセレクトし、彼らの経済思想の現代的意義を沖縄あるいはアメリカと強く関連づけて論じることにした。

沖縄国際大学のキャンパスは普天間基地に隣接している。校舎の上層階からは基地の全体が見渡せる。あのオスプレイも目に入ってくる。2004年に米軍のヘリが墜落し炎上するというあの有名な事件が起きたのが、この沖縄国際大学なのである。キャンパス内にはその事件のモニュメントも建立されている。




さて、集中講義だが、結論から書くと、この上なく充実した時間を過ごさせてもらった。とにかく、学生たちの受講態度が熱心で素晴らしかった。履修登録者70名のうち、50名前後が恒常的に出席してくれた。単元が終わるごとにミニッツペーパーを配布してコメントを書いてもらったが、読み応えのあるコメントが実に多かった。やはり沖縄という土地柄が社会問題への意識を自然と高めるのだろう。本務校の学生たちよりも「打てば響く」感じが強かった。*1たくさんのことを僕自身が学ばせてもらった。また、沖縄国際大学が主催してくれた懇親会で、ちょうど僕と同じ時期に集中講義で来られていた京都府立大学のK先生の知遇を得られたことも収穫だった。

滞在中は天候に恵まれた。台風の直撃はおろか、雨天すら一日もなかった。毎日気持ちの良い晴天であった。日差しはきつかったものの、海が近いということで、最高気温が32度くらいまでしか上がらず、とても過ごし良かった。ニュースで京都39度、名古屋40度などと聞くと、沖縄に「避暑」に来たような気分になったが、それも決して誇張ではないくらい過ごしやすかった。食べ物はどれもおいしかった。特にこーれーぐす(香辛料)を入れた沖縄そばのスープがおいしすぎて忘れられない。毎晩、ホテルで(読書の後に)ご当地ビールオリオンビール(実にたくさんの種類がある)で晩酌して、気分良く就寝した。

ただ、観光を楽しむ時間は持てなかった。さほど遠くもない首里城に足を伸ばすこともできなかった。美しい海も見ていない。メインストリートの国際通りを少しぶらついた程度である。そうした楽しみは次回の沖縄出張に取っておきたい。

昨年度は教育者としてスランプに陥っていたが、これでようやく脱したと言えそうだ。再来週は小樽商科大学で集中講義だが、そこでも教えることを通じて多くのことを学びたいと思う。

*1:本務校の学生(自分のゼミ生もそうでない学生も)の卒論のテーマから社会性が年々希薄化してきているために、余計にそのように感じてしまうのかもしれない。