Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

集中講義「経済学史」@小樽商科大学

8月19日から26日(今日)まで7泊8日の日程で北海道小樽市に出張していた。小樽商科大学で夏期集中講義「経済学史」を担当するためである。もともと「経済学史」は旧知の間柄の先輩Eさんの担当科目なのだが、Eさんが副学長職で多忙をきわめており、ちょうど昨年の今ごろに代講を依頼され、快諾したわけである。

今回の出張でいちばん困ったのはホテルである。まだ夏休み中で、観光のハイシーズンであるため、普段の出張で使っているグレードのビジネスホテル(ドーミーインなど)は、価格が著しく高騰し、小樽商大の規定の金額内では泊まれないのだ。泊まりたい場合は超過分が自腹になるが、7泊となるとけっこうな金額になるので、結局ホテルのグレードを落として規定額に収めざるをえなかった。しかし、その代償は大きく、8日間を過ごした部屋はとにかく古くて狭かった。シャワーを浴びるスペースも大人が一人やっと立てる程度。テーブルも狭くて書類が広げられない。ベッドも狭い。古い部屋独特の臭いもした。不満だらけの部屋で、気分が滅入った。

ただ、不満はそれだけ。集中講義のほうは、結論から記すと、この上なく素晴らしい時間を過ごすことができた。履修登録者数は85名で、実際に出席していたのは50名超。内容は沖縄国際大学での集中講義をベースにしつつ、沖縄やアメリカの話題を少し減らして、その代わりにやや専門性の高い発展的な話題(最新の研究動向など)を追加した。まじめかつ熱心な受講生たちが僕の「教えたい」欲を日々刺激してくれた。コメントペーパーを2回提出してもらったが、鋭いコメントが多く、リプライをホテルに帰って考えるのも楽しかった。ホテルと大学を往復するだけの毎日だったが(ホテルから徒歩数分の運河にすら行っていない)、授業と授業準備だけで十分に幸せであった。

いちばんびっくり&感動したのは、24日の授業の冒頭の雑談で「僕がこの10年間に読んだ本でいちばんびっくり&感動した本」について紹介したところ。25日の授業開始までに(1日しかないのに)それを買って読み終えて感想を伝えてくれた受講生がいたことである。千里山にもそういう積極的な学生が登場して欲しいものである。

25日の最後のコマで論述試験を行った。今日の帰りの飛行機の中で答案をじっくり読ませてもらったが、「本当にたった60分でこんなにたくさん書いたの!?」と尋ねたくなるほどの文章量の答案が続出し、「さすが国立大生!」と感服してしまった。


↑2人とも答案用紙の表面だけではスペースが足りず裏面まで使って書いている!

千里山の学生も十分に優秀だと思うが、マーク式入試を採用している私立文系の悲しさなのか、比較的長い論理的な文章を書くということに関しては、苦手意識の強い学生が多く、国立大生にずいぶんと水をあけられてしまっている。これについては実力差を認めざるをえないだろう。今後千里山の学生を教育するうえでの課題が改めて浮き彫りになってきた。

受講生にお願いしてコメントペーパーに小樽のおすすめの飲食店を書いてもらった(有名店は観光客の行列で入れない)のだが、そのおかげで毎夜違う店を試すのも楽しかった。3名もの受講生が「CAFE BAAL」の「ステーキ丼」をイチ押ししていたので、23日の夜に訪れた。

これがステーキ丼(1100円)。結果は・・・もう素晴らしすぎた。これまで小樽は何回も訪れているが、間違いなくこれが現時点での小樽ナンバーワングルメだ。どうすればここまでやわらかく調理できるのだろう。あまりにおいしくて、ほっぺたが落ちそうだった。次回小樽に来た際には必ずこの店に立ち寄ることだろう。ステーキ肉以外もすべておいしい。パーフェクト。奇跡的な味である。寿司よりステーキ丼。これからはこれで決まりだな!

小樽滞在中ずっと一人での食事だったので、24日の授業の冒頭で、25日の晩ご飯を付き合ってくれる人を募集したら、2人(J君、T君)が手を挙げてくれた。2人ともたいへん知的かつ魅力的な人物で、話題が尽きず、結局深夜1時まで語り合ってしまった。まさしく本当の意味での「一期一会」であった。

沖縄と小樽で充電したエネルギーをいかにして千里山の学生に還元するかが、僕の秋学期の課題になりそうだな。