Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

科研「啓蒙と経済学」研究会@東鴨川大

今年度1回目(通算5回目)の研究会。3本の研究報告のうち1本は僕が報告を担当する(他の2本はT中先生と院生N原君)。「バーク対ペイン論争の新展開――その現代的意義およびヒューム研究・共和主義思想史研究との関連――」と題する報告を初めて披露する。

僕は3年前(社会思想史学会@岡山大、2005年11月12日)に「18世紀末ブリテンの共和主義とバーク」と題する研究報告を行って、バークを共和主義思想史上に位置づけることを試みたけれども、残念ながら、自分の納得のゆく報告とはならなかった。当時の僕の協和主義理解が浅薄だったこともあって、バークの共和主義者としての側面を単独で論じても、思想史的にさほど意味のないテーマのように思えてきた。新しい切り口が見つかるまで、しばらく原稿を寝かせることにした。

3年たってようやく新しい切り口を発見するに至った。それは主としてF田さん、I塚さん、U野さんの研究から受けたインパクトの大きさによるものだ。バークをヒュームおよびペインと対比させつつ共和主義思想史上に位置づけることによって、以前よりもいっそう意義深い研究にになったように思う。スキナーやペティットに言及できていないなど不備がまだまだ残る荒削りな報告ではあるが、聴衆の反応は概ね好意的で、自分の思考の方向が誤っていないことを確認できて、とにかく一安心できた。論旨をもっとクリアにして、9月のヒューム研究学会に備えたい。

研究会終了後、百万遍界隈で懇親会。この秋に合同ゼミを行うH大のG藤さんと久しぶりに最後までご一緒できたのが嬉しかった。オーストラリアでご一緒させていただいたI藤さんにも最後までおつきあいいただけた。同世代の研究者の横のつながりに関して、僕らの世代の充実は誇るべきである。お会いするたびに、「もっと勉強しなきゃ」「負けられない」という気持ちになる。エネルギーを注入していただける。本当にありがたい。

院生M本君は来年の夏にオーストラリアで研究発表を行うつもりになっている。実行してくれるのなら、本当に素晴らしいことだ。僕が院生の時代にはとてもそんな勇気はなかった。この業界で生きてゆくには(どこの業界にも言えることだとは思うが)、「勇気」と「打たれ強さ」は本当に大事だ。