Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

GRACE UNDER PRESSURE

久々に音楽ネタ(と言っても、たいした内容ではない)。

Twitterのtimelineから教えてもらったのだが、38年前の今日(1984年4月12日)、RUSHの10thアルバム『GRACE UNDER PRESSURE』がリリースされたとのこと。当時僕は高校1年生。リリースされた日にその新しい音を耳にしたわけではないのだが、『GRACE UNDER PRESSURE』は僕がRUSHの音楽に触れた最初のアルバムであり、以来38年にわたる僕のRUSHファン歴の出発点をなす。この作品との出会いがなければ、その後の僕の人生がまったく違ったものになったことはほぼ間違いない。

Grace Under Pressure

Grace Under Pressure

  • アーティスト:Rush
  • Mercury
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かなり昔のことなので記憶が曖昧だが、確かテレビ朝日系列の日本版『MTV』(VJはセーラ・ロウエルとマイケル富岡!)でライブ・スペシャルなる特集を放送していて、そこで放送された中で特に印象に残った1曲がRUSHの「RED SECTOR A」という曲だった。「こいつらはいったい何者だ?」 オリジナル・バージョンを聴きたくなり、ネットもない時代にレコード店でその曲を含むアルバム『GRACE UNDER PRESSURE』を探し当てて、レンタルレコード店でそれを借りて聴いたのが、僕の最初の本格的なRUSH体験である。おそらく1985年(高2)だったように思う。

ギター、ベース、ドラム、キーボード、ヴォーカルが聞こえるのに、メンバーが3人しかいないスリーピースバンドであることにまず驚いた。ベース、キーボード、ヴォーカルの三役を一人でこなしているGeddy Leeだけでも十分にすごいのに、ドラムのNeil Peartは超絶的なテクニシャンで、ギターのAlex Lifesonも2人に劣らぬ高度な楽器演奏技術の持ち主であり、さらに彼らの作る楽曲はメロディアスでありながら構成力も高く、そのオンリーワンの魅力に一発で打ちのめされた。RUSHとの出会いによって、僕の音楽体験はまさしく異次元のレベルに突入した。僕の求める音楽のほぼすべてがここにあったのだ。

名曲「RED SECTOR A」のライブバージョンは、数年後にリリースされたライブ盤『A SHOW OF HANDS』に収録されたバージョンのほうがすぐれている気がするが、名曲揃いの『GRACE UNDER PRESSURE』(1曲目の「DISTANT EARLY WARNING」でいきなりやられる)の白眉は何と言ってもアルバムの最後を飾る「BETWEEN THE WHEELS」であろう。個人的な評価では、RUSHの名曲トップ10の圏内に38年間ずっとランクインしている。

『GRACE UNDER PRESSURE』のプロデューサーであるPeter HendersonとRUSHはこの1枚かぎりで手を切っているので、おそらく彼らは本作のできばえに十分に満足していないはず。実際、完成度だけをとれば、次作の『POWER WINDOWS』(1985年リリース、プロデューサーはPeter Collins)のほうがずっと上である。その意味で、『GRACE UNDER PRESSURE』を『POWER WINDOWS』へ至るまでの過渡期的作品として評価することもできようが、僕自身としては、『GRACE UNDER PRESSURE』というアルバムの固有の価値として、シンセ・ベースの音の素晴らしさを挙げておきたい。それがライブで十分に再現できていないがゆえに、「BETWEEN THE WHEELS」の数あるライブ・バージョンに僕はなかなか満足できないくらいなのだ。スタジオ・バージョンにおけるシンセ・ベースの粘着感とベースギターの躍動感の対比は見事で、そのことがAlexのこの上なくメロディアスなギター・ソロをいっそう際立たせている。ドラマーの常として、Neilのドラムにばかり耳が行ってしまうのだが(彼のフレージングの多彩さについては他者の追随をまったく許さない)、この曲だけは例外で、ベース(orキーボード)とギターのテンションの高い絡み合いにばかり耳が行く。完璧な楽曲だ。これこそがプログレッシブ・ハード・ロックだ。

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RUSHは1984年11月に一度だけ来日しているが、残念ながらその時点の僕はまだRUSHを知らない(知っていてもライブに行ける財力がない)。熱狂的ファンになった後、何年待てども彼らは来日してくれない(日本での人気が低いせいだろう)。どうしてもこの目でRUSHを観たい! その思いが募りに募って、(この日記のプロフィールにも書いているように、)ついに2004年9月に僕はイギリスへ飛んで、生Rushを体験して感涙した。生で観るNeilのドラムはまさに神業で、ドラムという楽器の底知れぬ面白さを体感した。一刻も早くコロナが収束し、再びコロナ以前のようにバンドでドラムを叩いてみたいものである。最近五十肩がひどいので、このままではドラムが叩けない。本当に早く治さなければ。

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↑「MALIGNANT NARCISSISM」(Instrumental, Rush cover)

そんなわけで今日は、自分とRUSHとの切っても切れない関係を再確認する貴重な1日であった。

今日の仕事は、昨日の入門演習の自己紹介動画の編集、明後日の講義(経済学説史&人権特講)の準備、加えて某業務など。ロシア語の勉強は『初級ロシア語文法』の3巡目の通読を終える。

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