David Kimさんがシドニー大学で担当されている学部学生向けの講義"East Asian Economy"(配当年次は2回生)にゲスト・スピーカーとして招かれ、そこでわが人生で初となる英語での講義を行った。
この授業は2コマ連続の講義で、前のコマをShiro Armstrongさん*1が、後ろのコマを僕が担当した。出席者数は100名くらいだっただろうか。英語の下手くそな僕が先に話させてもらうつもりだったが、Shiroさんのご都合で僕が後ろのコマになった。そこで「皆さんはすでにメインの料理、Shiroさんの講義をお食べになりましたので、私の講義はデザートのようなものです。rubbishでなくsweet desertであってくれればよいのですが 。気軽に聞いてください」と言って、自分の講義をスタートさせた。ここでけっこう笑いがとれた。かなり場がなごんだように思う。
Shiroさんの講義は戦後の日本経済の全般的特徴についての概説であったが、僕のほうはトピックを絞り込んで、バブル経済の発生と崩壊を「土地神話」との関連で話した。途中、日豪の住宅事情比較、日本の家屋の特徴、それに関連する日本(特に京都)文化の興味深い側面、2020年の東京オリンピックなどについても雑談的に話した。
人生初の英語での講義であったため、正直なところ、講義中は精神的余裕があまりなかった。むしろ必死であった(そうなることがわかっていたので、講義の途中に受講生向けのクイズを入れて、一瞬休憩できるようにしておいた)。45分間の講義を終えた後も、受講生との質疑応答の時間が30分ほど続く。こちらは事前に準備しようがないので、精神的余裕がさらになくなる。しかし、受講生に「質問はゆっくり大きな声で言ってくださいね」とお願いし、実際、受講生は僕が聞き取れるように丁寧に質問してくれたので、僕のほうも何とか無事にリプライすることができた。授業本体が終わった後も、たくさんの受講生が僕の周りに集まってくれた。日本への留学へのアドバイス、現在審議中の安保法案に対する個人的見解などを求められた。*2教室を出た後も、Redfern駅前でたまたますれ違った学生から挨拶された。嬉しいことに、受講生の一人だった。
おおいに疲れましたが、受講生から笑いもとれたし、質問もたくさんもらったので、1回目にしては「成功」ということにしておきたい。
英語での講義については、思っていた以上に準備がたいへんだったので、いつでも喜んでやらせていただきます、という感じからは現時点で程遠い。とはいえ、やりがいの大きな仕事だったことは確かで、やって良かったとは思っている。とても貴重な経験をさせてもらえた。今回の在外研究における最大の成果の一つだと言ってよいだろう。
昼食はDavid、Shiroさんとシドニー大学キャンパス内のレストラン"The Grandstand"*3にて。
夜は最後のRefern会に参加し、Tim Fisherさんと再会を約束する。散会後、Davidに案内されて、North Sydneyの高級レストラン"The Oak"へ移動。
慰労会&Farewell Dinner(第一弾)ということで、ご馳走になる。ここでもまたまたBarramundiを選択する。シドニーに到着してからこれまで食べた料理の中でおそらくいちばんおいしかった。しかし、連日早朝から深夜までかけて講義準備してきた疲労に講義を終えた安堵感が加わって、グラス数杯のビール&ワインで変な酔い方をしてしまった。一緒にいたHさんによれば、「かなりハイテンションだった」と。帰宅後、急に疲れがあらわになり、そのままほどなく眠りに落ちてしまった。
*1:http://d.hatena.ne.jp/nakcazawa/20150912
*2:その中には8月15日にたまたま出会った日本人学生Kさんの友人も含まれていた。http://d.hatena.ne.jp/nakcazawa/20150815