Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

ロシア語強化期間(ひとまず)終了

午前中は経済学史学会の特命会議。午後は子どもたちを連れて鴨川散歩&三条のブックオフへ。幸せな時間。夕食はちらし寿司で、一足早いひな祭り。子どもたちの就寝後、ロシア語の勉強。練習問題9終了。難しかった。

土日の仕事(校務・学会・研究会)が年々心理的にきつく感じるようになってきている。今日の午後のような、子どもたちとの幸せな時間を潰してしまうわけだから。機会費用が年々逓増しているわけで。「オンラインの会議だから回数増えてもいいでしょ」的なムードが高まって欲しくないな。

さて、今日で2月が終わり、明日から3月が始まる。他の仕事もあるので、1月18日から始めた語学(実質的にはほぼロシア語)強化期間は今日で一区切りとしたい。42日間のほぼ毎日、最低2時間、多い日は8時間以上を、ロシア語の勉強に費やしてきた。読む・書く・聞く・話すのバランスをかなり意識し、どれか一つに偏らないように努めてきた。読破したテキストは4冊で、途中で挫折しないよう、徐々にレベルをアップしていった。音声面ではYouTubeでたまたま見つけた「マリーシュカチャンネル」が素晴らしく、チャンネル登録して、暇があれば動画を1日に何度も視聴していた。*1NHK Eテレの「ロシアゴスキー」も視聴したが、聞き取れる単語が徐々に増えてきた。ロシア語学者の黒田龍之介さんのエッセイ集(『ロシア語だけの青春: ミールに通った日々』、『ロシア語の余白』)も勉強が行き詰った時の励みになった。往復の通勤電車の中でもWALKMANで絶えずロシア語の音声に触れるようにした。黒田さんのアドバイスに素直に従って、効率的な勉強法などはいっさい考えずに、ロシア語に触れる時間をできるだけ増やし、日本で暮らしながらロシアに短期留学しているかのような環境を作れないか、と試みた。

この試みが成功したかどうかは、現時点ではわからない。辞書を引けば、たいていの文章は読めるようになったものの、語彙力が依然として弱く、辞書を引きまくらなければならないので、1時間かけてもまだ4-5行くらいしか訳せない。研究に使えるレベルには程遠い。でも、不思議なもので、ロシア語の勉強に打ち込んだこの42日間は、シドニー在外研究(2015年5-9月)を終えて以降、間違いなく研究者として最も充実した時間であった。やはり勉強は楽しい。「役に立つ、立たない、成果につながる、つながらない」とは関係なく、純粋な知的好奇心--レーニンやチェルヌイシェフスキーを原文で読みたい!--から30数年ぶりに勉強を再開させて、自分が階段を一歩一歩のぼっていく感覚を得られたことは、本当に大きな喜びであった。*2

全然身についていないので、恥ずかしい告白でしかないのだが、僕は子どもの頃から(英語はもちろんのこと)英語以外の外国語への興味が強く、小学校6年生の時にはNHKラジオの中国語講座を自分で勝手に3か月ほど聴いていた。講師は傳田章先生だったように記憶している。大学受験に失敗して浪人生活を送ったが、9月くらいに受験勉強に飽きてきて(倦怠期)、10月から突然NHKラジオのロシア語講座を聴き始めた。この時点で「大学に入ったらロシア語を第二外国語に選択しよう」と決めていたので、余裕を持って授業を受けられるように、早めに勉強を開始しておこうと思ったわけである。ロシア語のあの奇妙な文字(キリル文字)を読めるだけでも小さくないアドバンテージがあるように感じられた。*3講師はおそらく佐藤純一先生だったように思う。ここでも3か月ほど聴いただろうか。勉強の優先順位を完全に間違えているわけだが、当時からすでに「勉強しなければならないこと」よりも「勉強したいこと」を優先してしまう悪い癖が僕にはあるようだ。

東鴨川大学に入学して、1・2回生は教養部の語学の授業として、植野修司先生、山口巌先生、木村崇先生からロシア語を教わったが、劇団活動が忙しく、お世辞にも「まじめな学生」とは言えなかった。それでも、ロシア語の勉強は3回生以降も続けたかったし、大学院入試に当時は第二外国語があったため、ペースメーカーとして授業を継続して履修することにした。山口先生(個人的にかなり好きな先生であった)が文学部でロシア語の外書講読を担当されていたので、3・4回生で履修した。受講生は自分を含めて2人だったように思う。ゲルツェンを読んだ。授業の履修に伴う最低限の予習を行うだけで精一杯だったので、4年間ロシア語を学び続けたわりには実力が伸びず、院試では2年連続でロシア語で撃沈するにいたり、結局僕は東鴨川大を離れ、北大和川大で(結果的に素晴らしい)大学院生活を送ることになるわけだ。撃沈からほどなくして大学院重点化が始まり、東鴨川大の院試に第二外国語が不要となったのは何とも皮肉なことであるが、だからこそ、この42日間、昔ふられた恋人についての記憶の糸をたどるような懐かしくも奇妙な感覚とともに、ロシア語に接することができた。

第三外国語として学んだ中国語も同時進行で勉強を再開させたかったが、今回はさすがに時間的に難しく、ロシア語のほうを優先せざるをえなかった。中国語のほうも近い将来強化期間を設けたいと考えているが、今しばらくの間はロシア語への思いを優先したい。中国語よ、ごめん。許してくれ。

CD付き オールカラー 基礎からレッスン はじめてのロシア語

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  • 作者:柚木 かおり
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  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

ゼロから始めるロシア語

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明日以降は、通常の仕事をこなしながら、いかに(短時間であっても)ロシア語の勉強を継続できるかが、重要である。サボってしまっては、この42日間が無に帰してしまう。

【6018】

*1:https://www.youtube.com/watch?v=aeitt2gnmY4&t=189s

*2:正確には、2007-10年くらいに、NHKのロシア語講座をテレビ・ラジオともに断続的に視聴していたが、聞き流していただけなので、ほとんど身に付かなかった。テレビのほうは講師の名前すら思い出せない。ラジオのほうは中澤英彦先生。

*3:実は、小学校6年生の時に、NHKラジオの中国語講座の並行して、たまにテレビのロシア語講座を視聴していて、あの奇妙な文字が記憶の片隅に残っており、「いつかチャレンジしたい」という思いがあったのだ。ちなみに、ロシア人講師だけ名前を憶えていて、ウラジーミル・ウーヒン(ジャージャ・ワロージャ)さんとローザ姉川さんである。