Neil and Rush and Me

Neil PeartのドラムとRushの音楽をこよなく愛する大学教員の日記(雑記)帳です。

経済学ワークショップ1

「経済学ワークショップ1」という1回生配当の入門演習科目をほぼ毎年担当している。例年、担当クラスから1-2名がnakcazawaゼミのメンバーになって、ゼミを引っ張ってくれている。15期生ではYNさんとYKTさんが、17期生ではASNM君とSKUCさんが僕が担当したワークショップのクラスの学生だ。*1専門のゼミを充実させるうえでも、ワークショップは特に力を注いでいる科目である。それくらい重要な科目だ。しかし、去年のワークショップは大失敗だった。標準メニューが大きく変わり、それが学期頭に設定されていたために、例年行っていた様々なグループワーク系のガイダンス授業(その期間に学生の顔と名前を憶えるようにしていたし、学生同士も親しくなっていった)ができなくなり、僕と学生との間にも、学生同士の間にも、コミュニケーションの壁ができてしまった。一度沈滞したクラスのムードを変えるのは本当に難しい。最後まで学生のやる気をほとんど引き出せなかった。彼らの心をつかめなかった。

今年は去年の反省があり、一昨年までのやり方に戻すことにした。標準メニューは自分の裁量で学期の後半に回し、前半はクラス内のコミュニケーションの円滑化・豊饒化に徹することにしている。今日の5限はワークショップの2回目だったが、自己紹介動画の上映、最優秀動画の決定・表彰、8班に分かれての課題レポート作成(グループワーク)というふうに進めた。グループワーク中に各班を巡回し、適宜アドバイスをしながら、学生の顔と名前を特徴とともに覚えるように努めた。僕と学生との間にも、学生同士の間にも、けっこうな質・量のコミュニケーションが成立したのではないか。やはり長年かけて作り上げてきたこのやり方がいちばん良いように思う。授業準備に相当な時間を要するのは確かだが(実際、今日の90分の授業を準備するのに、4-5時間は要したように思う)、いったんクラス内に学びの芽が発芽すれば、後は学生のほうで勝手に面白がって勉強してくれる。そのために必要なコストだと思う。まだ2回だが、今のところうまく行っている。この調子で残り13回を駆け抜けたい。

健全な組織の前提としてのコミュニケーションの質・量の充実、というのは『ビジネス倫理の論じ方』にも書いたことで、(教育工学的な視点からではないが)学問的な裏付けも行っている。

*1:16期生が1回生だった2015年度の春学期、僕はオーストラリアでの在外研究に従事していたので、ワークショップは担当していない。